米新国務長官ポンぺオ氏とは?
Japan In-depth / 2018年3月23日 15時19分
共和党でも超保守派とされるポンぺオ議員は下院情報委員会の枢要メンバーとして活躍し、オバマ政権時代のリビアのベンガジでのアメリカ大使殺害テロでのヒラリー・クリントン国務長官(当時)の対応を手厳しく非難した。オバマ政権のイランとの核合意にも一貫して強く反対した。グアンタナモ基地の重要テロ容疑者収容所の閉鎖にも反対、イスラム原理主義テロリストへのオバマ政権のソフトな姿勢をも糾弾した。
写真)ヒラリー・クリントン氏
出典)Office of the Historian, Bureau of Public Affairs,
United States Deprtment of States
こうしたスタンスはトランプ氏の主張とも一致する点が多く、同氏自身、「ポンぺオ氏とは世界観の波長が合う」などとツイートでよく書いていた。
ただし両氏が以前から交流があったわけではなく、トランプ氏が選挙に当選した直後の昨年11月中旬、ポンぺオ氏をCIA長官候補としてトランプタワーに招いて懇談したときが初めての一対一の顔合わせだった。この50分ほどの会談でトランプ氏はポンぺオ氏のCIA長官任命を決めたという。
ポンぺオ氏は1963年生まれの現在54歳。陸軍士官学校出身で、学年首位の成績で卒業した。その後すぐの1986年に陸軍士官となり、東西冷戦下のベルリンに駐在したほか1991年の第一次湾岸戦争でも戦闘任務に就いた。
ポンぺオ氏は退役後、ハーバード大学の法科大学院を経て、大手法律事務所の弁護士となり、さらに実業界に転じた。中西部のカンザス州で航空宇宙分野のハイテク企業を立ち上げて、成功をおさめたのだ。
その後、2010年にカンザス州内の選挙区から連邦議会下院選挙戦に出て、当選する。下院では共和党保守として「茶会」にも加わり、国家安全保障の領域で活発に動いた。その活動がトランプ氏にも認知されたわけだった。
ポンぺオ氏のこうした政治軌跡をみると、その世界観は前任の国務長官ティラーソン氏よりもずっと力の効用を信奉し、強硬で、トランプ氏の感覚に合致しているともいえる。
写真)前国務長官ティラーソン氏
photo by United States Department of State
その意味ではトランプ政権全体としての対外政策はこれまでよりも足並みがそろうわけだが、その分、議会の民主党リベラル派などからの反発も激しくなると予測される。
ポンぺオ国務長官を先頭に立てたトランプ外交のより強固な構えが、今後の世界にどのような新しい波を広げるのか、同盟国の日本としても真剣に注視せねばならないだろう。
トップ写真)マイク・ポンペオ氏
Photo by Gage Skidmore
-
- 1
- 2
この記事に関連するニュース
-
「もしトラ」で関係構築急ぐ、対日の先行きにも懸念 台湾・頼清徳政権の行方(下)
産経ニュース / 2024年5月22日 20時54分
-
米、台湾との「非公式関係」深め中国を抑止 トランプ前政権閣僚は「戦略的曖昧さ」を批判
産経ニュース / 2024年5月20日 22時22分
-
バイデン氏の「人権」重視で抑止力低下 ベトナム反戦の産物と分析 米国際政治学者ミード氏
産経ニュース / 2024年5月18日 16時25分
-
米共和党の保守強硬派議員、共和下院議長解任動議の投票求める
ロイター / 2024年5月2日 9時54分
-
焦点:「トランプ2.0」に備えよ、同盟各国が陰に陽に働きかけ
ロイター / 2024年4月25日 15時33分
ランキング
-
112歳に散弾銃渡したか 61歳を銃刀法違反ほう助容疑で逮捕 愛知
毎日新聞 / 2024年5月23日 19時5分
-
2「仕事と公務の二刀流」にお疲れ?愛子さま、日赤社内歓迎会翌日の“うっかりミス”
週刊女性PRIME / 2024年5月23日 8時0分
-
3パトカー事故、都に賠償命令=男児遺族へ6600万円―東京地裁
時事通信 / 2024年5月23日 20時16分
-
4品川の住宅火災で母子4遺体、搬送された40代の父親に事情聞く方針…母親とは今月離婚
読売新聞 / 2024年5月23日 20時20分
-
5大分妻子殺害の被告、身勝手な動機 遺族は傍聴席の柵越え憤慨
毎日新聞 / 2024年5月23日 20時34分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください