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フォルケホイスコーレ留学はお得? デンマークの「人を幸せにする仕組み」5(下)

Japan In-depth / 2018年5月6日 0時0分

また、デンマークには「ヒュッゲ(Hygge)」という言葉がある。「ヒュッゲ」とは、「誰かと一緒に過ごす、あたたかで居心地のよい空間や時間」を意味するデンマーク独自の言葉だ。(※3)デンマーク人は「ヒュッゲ」と共に生きているといっても過言ではない。日本の学生は卒業後すぐにギャップイヤー(※4)を設けることなく就職する。こうした社会システムを当然視する若者にとって、「ヒュッゲな」時間と共にフォルケホイスコーレで過ごす留学経験は、これまでと、そしてこれからの人生を、一歩立ち止まって見つめ直す貴重な機会となるだろう。



▲写真 学校内に貼られている学生たちの“I AM FEMINIST”の主張 ©田中亜季



▲写真 個性が光る生徒たちのルームプレート ©田中亜季


しかし、お勧めできない理由もある。まず、「まったくの英語初心者にはおすすめできない。」当たり前ながら、デンマークでの英語の授業は英語で行われるので、その内容がある程度理解できる能力のある人のほうが、より良い時間を過ごせるだろう。


他方で、本気で高い英語力の獲得を目指している人にも、フォルケホイスコーレはお勧めできない。デンマークの現地語はデンマーク語なので、デンマーク人の英語の発音や文章には、デンマーク語の癖がどうしても出てくる。デンマーク語でなく、英語の習得を第一目的としてフォルケホイスコーレへの入学を考えている場合には、母国語が英語の国を選択するほうがよいだろう。


加えて、学校選びも重要だ。昨今、アジア人の間でのフォルケホイスコーレの人気が高まってきており、希望する学校に行けないケースや、行って見たらアジア人ばかりだったなどのケースもよく見聞きする。多くのIPC(英語で授業を行う国際フォルケホイスコーレ)では、日本人留学生や韓国人留学生の人数調整を行っている。刺繍を学ぶスカルスフォルケホイスコーレでも同様に人数調整が行われている。


また、フォルケホイスコーレのほとんどは、高校卒業後のギャップイヤーを過ごす若者や、大学休学中の学生など、20代前半の若者を対象としている。同級生との年齢差を気にされる場合は、事前に学生の年齢層について学校に直接確認してみたほうが良い。


デンマークのユランドポステン(Jyllands-Postens)紙(大手日刊紙)の記者によれば、今後フォルケホイスコーレの数は減少していくかもしれないそうだ。というのも、留学生からの人気とは裏腹に、現地のデンマーク人の入学率は減少しているのである。この記事を読んで、もしデンマークでのフォルケホイスコーレ留学に興味が持った方がいるなら、出願はできるだけ急いだほうがいい。


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