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北朝鮮 欺瞞と虚偽の歴史

Japan In-depth / 2018年5月11日 18時0分

しかしこの宣言にこそ北朝鮮の読み方のカギが隠されていた。核やミサイルの実験停止の理由として「核の兵器化の完結」という表現がさりげなく記されていたのだ。核武装はもう完結したから核実験は中止するというのだ。日米両国などが求める非核化とは正反対の意図のようなのである。

北朝鮮の言葉と行動の違いには最大限の警戒が必要である。この点こそ朝鮮半島情勢への適切な対応の大前提だといえる。

私は1990年代以来、ワシントンを拠点に北朝鮮の核武装とアメリカの反応を考察してきた。その過程では北朝鮮が「核放棄」を公式に誓いながら、実際には核開発を続けるという欺瞞と虚偽のパターンをみてきた。今回の北の軟化ぶりをみて以下の言葉を思い出した。

「北朝鮮は得たいものを得るには協定や条約を結ぶことではなく、そのための前段階の交渉プロセスから利益を引き出す」アメリカ政府を代表して北朝鮮との裏交渉に長年、かかわった専門家チャック・ダウンズ氏のコメントだった。いまの状況がまさにこの「前段階の交渉プロセス」に合致するのである。

写真)チャック・ダウンズ氏

出典)LinkedIn

ワシントンの大手研究機関「AEI」の上級研究員として北朝鮮の動向を長年、研究してきたニコラス・イーバーシュタット氏も北朝鮮の言葉と行動の不一致への警戒を呼びかけていた。北朝鮮がこれまで拘束してきた韓国系アメリカ人3人を解放して帰国させることを認めた5月9日の時点での論評だった。

写真)ニコラス・イーバーシュタット氏

出典)AEI

「北朝鮮が3人のアメリカ人の人質を解放したからといって、祝いの言葉を述べるのはまだ早い。今回の解放措置だけをみて北朝鮮がアメリカの交渉相手として信用できるなどと思うのは幻想に近い。北朝鮮はこれまでの長い年月、アメリカや韓国そして国際社会に対して平和や友好の名の下に融和的な言動を何度もとってきた。だがいつもそのたびに北朝鮮は自国の勝手な都合次第で、その融和的な言葉、とくに公約の類を平然と無視し、違反し、さらには踏みにじってきたのだ」

写真)解放された3人の米人を迎えるトランプ大統領

出典)Twitter @WhiteHouse

[embed]https://twitter.com/realDonaldTrump/status/994517833357946882[/embed]

だから北朝鮮の言葉上の非核化の言明や平和条約への希望というのはまったく信用できない、というのである。アメリカ側の専門家たちのこうした慎重な対応は日本にとっても指針とするべきだろう。

 

TOP写真:金正恩委員長と会うポンペオ米国務長官 2018年4月27日出典)Twitter @WhiteHouse 

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