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興行エアレースの為に航空法曲げてよいのか?

Japan In-depth / 2018年5月22日 11時0分

些細な話だが燃料も有鉛タイプが許されている。レッドブル・エアレースの日本語サイト内を限定検索しても「有鉛」「ガソリン」の字はない。つまり制約されていない。好評な企業イメージからすれば有鉛を使うべきではなくバイオ燃料等をレギュレーションにすべきだがその旨の記載もない。

確かに経済的利潤は大きい。チケットは毎回飛ぶように売れた。実施は晴天かつ屋根なしの条件ながら飲み物は600ccまでしか持ち込みできない。なかなかの価格に設定されたペットボトルはどんどん売れたという。興行主やパイロット連は相当に利益を得られる。

だが、それは地元に還元されない。消費は囲い込んだ会場に限定される。会場外はほぼ儲からない。なぜか千葉市は乗り気だが千葉市民の利益もない。

 

■本来なら高さ制限は7mまで

法令上でも異例づくしだ。

通例なら転移表面(航空法規定)に引っかかる例だ。滑走路北辺から50mの距離では高さ制限は7mとなる。それ以上の高さの建物・工作物は許されない。筆者は自衛隊飛行場の施設整備を担当していたが立木は切っていた。積雪時に除雪車脱輪防止のため、滑走路際に刺した竹竿も問題となった。当然ながら本来は飛行場施設として土地取得が前提となる部分である。

図)制限表面概略図 /出典)国土交通省 大阪航空局

 

今回はより穏当な水平表面(航空法規定)に当たる例としている。これは場外着陸場とし、おそらくは滑走路帯を海側に設定した結果だ。だから45mまで許される形となる。

ところが、それでもホテルの高さは引っかかる。高さ50mは水平表面の制限高さを超えている。しかも滑走路脇50mの至近距離にある。NOTAMといった通知で平然処置される1km2km離れた建設現場のクレーンとはわけが違う。

しかも都市部での場外離着陸場は一般的にヘリコプター向けだ。ヘリは都市部での離着陸も安全容易である。垂直離着陸が可能であり失速速度もない。だからさほど危険視されない。

対して今回は固定翼機である。失速速度は50kt、実離着陸速度は2割増し程度なので110km/hで離着陸する。しかも軽量なので横風に弱い。人口稠密地に設けた場外離着陸場には本来向かない

さらに目的も演出上の要求による。本来、千葉での曲芸飛行なら調布、桶川の民間飛行場の正規利用、あるいは木更津・下総等の自衛隊飛行場の有償利用で距離的には差し支えはない。だが「興行的にプログラムを円滑に進めたい」「観客の待ち時間なしで連続演技をした」「だから浦安市に飛行場を設定したい」だけの話である。

まずは異例に尽きている。そして、それが政務官視察を要する異例も引き起こしている。通例の事務手続きでは許可できない。だから政治判断で許可を出す。そういう構造となっている。

だが、曲芸飛行にそれまでの公共性はない。つまりは本来は航空法での特例許可にはそぐわない例なのだ。

果たして、興行に航空法特例の便宜を計るべきなのだろうか?

*トップ写真)レッドブル・エアレース/出典)photo by  kenhodge13

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