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増大する日本への脅威 米朝首脳会談総括 その5(最終回)

Japan In-depth / 2018年7月2日 18時0分

▲写真 北朝鮮の弾道ミサイル 火星15号 出典:Missile Threat CSIS

日本にとっての北朝鮮という存在は、こうした諸点をみただけでも、そもそも対立案件が厳存する敵性の強い相手なのである。

韓国も日本にとって安全保障面で頼れる相手ではない。文在寅政権下ではこんご親北朝鮮、反日本の傾向が一段と強まる気配もある。もし韓国と北朝鮮との南北統一に向けての動きが本格化する場合、北朝鮮がすでに保持している核兵器の一部をアメリカの目からはうまく隠しとおすことも考えられる。そうなると、悪夢中のまた悪夢として反日で核武装した新統一朝鮮が日本の脇腹にナイフを突きつけた構図で誕生することもありうることとなる。少なくとも絶対に否定できるシナリオではない。

日本にとってのさらなる軍事脅威は中国である。この点は改めて議論をする余地もないだろう。中国は日本の固有領土の尖閣諸島周辺の日本領海に毎月3回ほどの頻度で武装艦艇を侵入させてくる。尖閣諸島を軍事力を使ってでも奪取しようとする構えを固めている。

▲写真 杭州湾の中国艦隊 出典:パブリックドメイン

その中国は米朝会談の結果、東アジア全般での軍事がらみの影響力を拡大することになる。日本への軍事的な威圧もその結果、強まることとなる。

前記のアメリカの陸軍大学教授ラリー・ウォーツエル氏は在韓米軍の一部の機能縮小、一部の撤退だけでも、在韓米軍の抑止力減少となり、アジアでの中国の安保面での主導権を強めるようになる、と指摘していた。中国は在韓米軍の土台となる米韓同盟も長年、反対してきたのだ。

▲写真 ラリー・ウォーツエル氏 出典:ECONOMIC and SECURITY REVIEW COMISSION

その中国は日本に対しては敵対性のにじむ安保政策をとっている。前述のように日本の固有領土の尖閣諸島を武力ででも奪取しようという構えを変えていない。中国の国内では「抗日の歴史」の名の下に過激な反日教育や抗日戦争記念日の国家最高行事へのレベルアップを続けている。米朝会談での新展開はその中国の対日活動にも勢いを与えかねない要因を示しているのだ。

では日本はこの新たな安全保障環境に対してなにをすべきか。

どうみてもまずは日米同盟の堅持と強化だろう。幸いにしてトランプ政権は中国の軍拡や無法な行動に警戒と対決を強めている。その結果、日米同盟の重視を一段と深めるにいたった。

▲写真 日米首脳会談 安倍晋三首相とトランプ米大統領 2018年6月7日 出典:facebook  White House (Official White House Photo by Joyce N. Boghosian)

日本の安全保障の強化となれば、日米同盟の枠内でも、あるいは自主的な方向ででも、日本独自の防衛能力、抑止力の構築を一段と進めることも欠かせない。その背後には日本の防衛努力に対して自縄自縛のような制約をかける日本国憲法第9条も多くの課題を抱えたまま、静かに立っているのだ。

米朝首脳会談はこのように多様な警告や教訓をもさし示しているのである。

(終わり。その1、その2、その3、その4。全5回。)

トップ画像/金正恩北朝鮮委員長とトランプ米大統領 出典:facebook White House (Official White House Photo by Shealah Craighead)

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