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非核化「ヘッカー案」の虚妄

Japan In-depth / 2018年7月4日 21時16分

▲写真 デヴィド・オルブライト氏 出典:Subcommittee on Terrorism, Nonproliferation, and Trade via the Library of Congress

オルブライトは、北が協力するかどうかは「ビッグ・イフ」だが、非核化ロードマップはあくまで協力を前提に作り提示されねばならないという。そして北に協力の意思がないなら、いくら時間を掛けてもそもそも非核化など実現しないとも強調する。その場合は外交解決以外の手段を考えることになろう。正しい認識及び態度である。

いずれにせよ、核ミサイルの脅威の除去という「朝鮮半島非核化」本来の趣旨に即せば、核兵器そのものや中・長距離ミサイルの誘導装置など脅威の中核部分の廃棄(一括して海外搬出が理想)に精力を傾注し、最優先で取り組まねばならない。

▲写真 北朝鮮の弾道ミサイル 火星15号 出典:Missile Threat CSIS

2003年から翌年に掛けて大量破壊兵器の完全廃棄を実現した、いわゆるリビア・モデルの場合、独裁者カダフィが核放棄を正式表明してから、米軍の大型輸送機が核施設・ミサイルの中核部品をすべて海外搬出するまで約1か月しか掛かっていない。量的にリビアを遙かに凌ぐ北朝鮮の場合でも、北が本気で協力するなら数か月以内に作業を完了できよう。

7月1日にボルトン大統領補佐官(国家安全保障担当)が米CBSテレビのインタビューで、「北朝鮮が既に戦略的決定を行い、かつ協力的であるならば、物理的には、彼らの核計画の圧倒的部分を1年以内に(within a year)廃棄できる」と述べたのはその意味である。

▲写真 ジョン・R・ボルトン 出典:flicker Photo By Gage Skidmore

ヘッカーは、ボルトンらの主張するリビア・モデルは「降伏シナリオ」であり、金正恩が同意することはあり得ないと一蹴する。

また核兵器の解体は実際に製造した北朝鮮技術者が行わねばならず、海外搬出という案は「ナイーブかつ危険」だとこれまた一蹴する。北の専門家に手順を教えられれば、他国の核技術者でも十分対応できると思うが、仮に特殊な安全の問題があるとしても、北の技術者共々海外に移してから作業すれば「朝鮮半島の非核化」事態は速やかに実現する。

しかし、ヘッカーはなぜか、北の国内で北の技術者のみが一つ一つ時間を掛けて解体する方式にこだわる。

その理由は結局、北に対する「政治的配慮」である。ヘッカーは、自らの安全を確信できるまで金正恩が核兵器を放棄しようとしないのは当然とし、「共存と相互依存」の関係をまず作り上げねばならないという。すなわち対北制裁を解除し、貿易や投資を拡大することが、非核化プロセスの前提というわけである。確実に北朝鮮に騙されるロードマップだと言えよう。

トップ画像/ジークフリート・S・ヘッカー教授 出典:The Official CTBTO Photostream

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