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ロイター記者2人を起訴、ミャンマー報道の自由いずこ

Japan In-depth / 2018年7月12日 19時1分

 


■ 2記者の起訴にこだわる事情


裁判所は同警部の証言を「信用に値する」として不起訴の可能性が一時高くなった。それは誰がどう見ても警察の不正が明らかになったからだ。しかしそれでも検察側は「警部の証言はでたらめ」であり、2記者の容疑は明白であるとの立場を崩すこと一切はなかった。そして7月9日の公判で裁判所は2記者の起訴、正式の公判開始を決めた。


こうした背景には、2記者を不起訴として機密書類不法所持が証明できない場合①警察の不祥事が明らかになる②2記者が取材していた「ロヒンギャ族10人を虐殺した国軍兵士」の人権侵害が改めて問われる③一貫して有罪を強く主張してきた検察側の信用が失われるーなど国家組織への深刻な影響への懸念が治安当局最高幹部あるいは政府部内に噴出したため、とみられている。


「司法すらもはや公平ではなく、国際社会や国民の正義への期待は大きく裏切られた」と人権団体や支援組織は失望している。


 


■ 解決が見えないロヒンギャ問題


2017年8月25日、ロヒンギャ族が多く居住するラカイン州でミャンマー警察の施設がロヒンギャ武装組織「アラカン・ロヒンギャ救世軍(ARSA)」に襲撃される事件が起きた。


これが契機となり始まったミャンマー国軍による「軍事作戦」は暴行・略奪・放火・虐殺と深刻な人権問題に発展、隣国バングラデシュに難を逃れたロヒンギャ族は約70万人とされ、国際社会からは「民族浄化」であるとの厳しい指弾をミャンマー政府は受けることになった。



▲写真 ARSAによる襲撃のあったマウンド―をパトロールするミャンマー国軍(2017年9月)出典:photo by Steve Sandford


その後バングラデシュ、ミャンマー両政府と国連などの協力で「難民帰還プロジェクト」が合意されたものの、帰還後は移動の自由が大幅に制限されたり、さらなる人権侵害への懸念などから帰還は一向に進んでいないのが現状である。ロヒンギャ問題は依然としてミャンマー政府にとって「頭痛の種」となっている。



▲写真 クトゥパロン難民キャンプから移動させられるロヒンギャ難民 出典:UNHCR  © UNHCR/Roger Arnold


そんな時に国軍兵士によるロヒンギャ族の虐殺の真相が掘り起こされることは当然ながら「歓迎されざる事態」であるだろうことは間違いなく、「不起訴・無罪」に傾きつつあったといわれた裁判所の今回の判断がどうしてそうなったかは容易に想像できるということだろう。


 


■ 薄れるスーチーさんの存在感


予審を通じて同警部の内部告発、裁判官による同警部証言への肯定的発言など「不起訴・無罪」の期待が一時的とはいえ高まったことで同事案は、ミャンマーの民主化を推し測る試金石になるとともに国家最高顧問兼外相のアウンサンスーチーさんの政治力を計るバロメーターとも言われてきた。



▲写真 アウン・サン・スー・チー氏 出典:photo by Claude TRUONG-NGOC


しかし「司法は法の定めに従うべきだ」と従来から原則論を繰り返すスーチーさんはこの件に関しては個別に関与することなく、結果としてミャンマーの民主化はまだまだ途上半ばであること、さらにミャンマーの「報道の自由」は依然として長く遠いそして暗い闇のトンネル内にあることを内外に強く印象付ける結果となった。


トップ画像/連行されるロイター ワ・ロン記者 出典:NPR(2017年7月13日)


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