言いたい放題のトランプ外交
Japan In-depth / 2018年7月22日 13時25分
NATOは戦後一貫してアメリカが中心的任務を担い、民主主義と自由競争、人権外交を柱とし、ソ連を軸とする旧共産圏と対峙してきた。90年代以降はこれに地球環境を破壊する温暖化問題や核拡散阻止も大きな理念的柱として位置づけてきた。
■ 戦後秩序を無視するトランプ
ところが、トランプ大統領が登場してからNATOや自由圏諸国が重視してきたそれらの理念をアメリカ自らが無視、あるいは軽視し始めてきた。アジア太平洋の自由貿易を広げようとしてきたTPP(環太平洋経済連携協定)から離脱し、環境協定のパリ協定も軽視。NATOの中心的存在であるドイツやフランスを批判する一方で、ロシアのプーチン大統領に近づくなど、これまで西側諸国が大事にしてきた価値原則を軽視し、EU諸国との協調にまでヒビを入れつつあるのが実情だ。
▲写真 トランプ大統領夫妻とプーチン露大統領 2018年7月16日 出典 露大統領府
こうしたトランプの方針にアメリカの富裕層やエリート層は懸念を示しているが、約40%の白人大衆層は固い支持にまわっており、世界だけでなくアメリカにも分断の亀裂が広がっているといえる。
▲写真 安倍首相とトランプ大統領 2018年6月6日 出典 首相官邸
日本の安倍首相は、アメリカと一枚岩の関係を保つことが日本にとって有利とみているようだが、日本の対米貿易赤字減らし、アメリカ製武器の購入要請など、戦後の価値観、秩序の変化を急速に変化させるトランプ大統領の“アメリカ第一主義”“理念より取引(ディール)に重きを置くトランプ外交”に不安と警戒を感ずる国民も増えつつある。戦後の日米外交、日本の外交方針は大きな変化の岐路に立たされているように見える。と同時に東南アジアやこのところ強気な中国でさえも本音ではとまどいがあるのではなかろうか。
トップ画像:NATO幹部とトランプ大統領 2018年7月11日 出典 facebook: The White House(Official White House Photo by Shealah Craighead)
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