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「一碗からのピースフルネスを」裏千家第15代前家元 千玄室大宗匠(下)

Japan In-depth / 2018年9月4日 14時20分

「一碗からのピースフルネスを」裏千家第15代前家元 千玄室大宗匠(下)


「細川珠生のモーニングトーク」2018年8月18日放送


細川珠生(政治ジャーナリスト)


Japan In-depth 編集部(北村優佳)


【まとめ】


・日本には伝統と伝承の文化がある。


・茶道には、日本人の精神性がある。


・トップに立つ人こそ精神の丹念と心の中の豊かさが必要。


 


前回の放送に引き続き、茶道裏千家第15代前家元の千玄室大宗匠をゲストに迎え、文化としての茶道について、政治ジャーナリストの細川珠生氏が話を聞いた。


 


■ 日本の文化としての伝統と伝承


千氏は第15代家元を41歳で継いでから「一碗からのピースフルネスを」というスローガンを掲げて、世界各国63ヶ国以上回っている。


戦後、米国の司令部は、米国にない伝統と伝承をアメリカ人は学ぶ必要があるとし、これを受けた米国の将兵が茶室を訪れた。先代が彼らに茶の道を説明している姿を見て、千氏は、「戦には負けたが文化では勝った。」と感じたと述べた。このことに端を発したスローガンである。


茶道には神社仏閣と同様、日本人の精神性がある。


千氏は「アメリカは歴史が浅く、多民族が集まっている。一方、日本は大和民族である。伝統と伝承がある。日本人の真の心が、茶道によって一番わかる。」と述べ、茶道は日本の伝統、日本人の精神性と深い関わりがあるとの考えを示した。細川氏が「日本人の伝統と伝承の心をどのように海外の人に説明しているのか。」と尋ねると、千氏は「日本人は思いやりの心を持っている。大和は情を元に生まれた。」と説明していると述べた。


さらに、千氏は「“昨日の敵は今日の友”といった日本人の心情を最も表しているのが、茶道である。茶道には身分の上下がない。一碗のお茶を隣の人が誰であっても勧め合う。」と述べ、こうした気持ちが日本人の大事な心情であると説いた。


 


■ 信念と思いやり


続いて、細川氏が「千利休の時代、地位や立場の違いを超え、同じ様に茶道が精神を沈着させる機会になっていた。現代では政治家だけでなく、企業や大学などのトップに立つ人こそ精神の鍛錬が必要になる。」と述べると、千氏は「相手に自分の気持ちを伝えるのはなかなか難しい。夫婦や家族の中でも、です。」と述べ、それを乗り越えるには自分の心の中の豊かさが必要であるとの考えを示した。


世界を見ている千氏は、「今の日本は食べ物も着る物もあり、世界中のことが分かる。贅沢な国だ。」と述べ、「日本人は、貧しい国の人に手を差し伸べる優しい気持ちがあるのだから、他の人に対して自分の心情を“我”でなく、伝えていく“伝承”を持ってもらいたい。そのために茶は必要である。」と述べた。


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