朝韓中が画策「米朝終戦宣言」(中)
Japan In-depth / 2018年9月10日 21時7分
■ 南北で合唱する「終戦宣言象徴論」
文政権の「終戦宣言象徴論」と全く同じ主張を今回金正恩と面談した特使団は持ち帰った。記者会見で鄭義溶(チョン・ウィヨン)特使は「終戦宣言は、政治的宣言であり、関係国との信頼構築のための必要な最初のステップと考えており、北朝鮮も共感している。金委員長は、米国と韓国の一部で提起されている、終戦宣言を行うと韓米同盟が弱体化され駐韓米軍が撤収しなければならなくなるという主張は、終戦宣言と全く関係のないことではないかという立場を表明した」と語った。
▲写真 鄭義溶(チョン・ウィヨン)国家安保室長と金正恩総書記(2018年3月5日)出典:Blue House(Republic of Korea)
終戦宣言実現では、南北が全く同じ見解を示しており、もちろん中国の習近平政権も同じ考えである。「終戦宣言象徴論」で金・文・習はトランプ大統領を欺瞞しようとしている。
▲写真 2018年9月5日に親書を持って訪朝し、金正恩氏と面会した 韓国の特使団 出典:韓国政府のFacebook ページ
■ 終戦宣言の伝道師文正仁
この欺瞞論理を広めている伝道師は、韓国大統領特別外交安保補佐官の文正仁(ムン・ジョンイン)である。詭弁家として有名な文正仁氏は少し前、米国で「終戦宣言」早期実現に引き込む「詭弁講演」スケジュールをこなし、現在は韓国内で精力的に「終戦宣言象徴論」を説き歩いている。
▲写真 文正仁氏 出典:Crawfords Forum
そればかりか、文政権の「終戦宣言ロードマップ」通り、年内に終戦宣言を実現させるために、慎重姿勢を崩さない米国の対北朝鮮政策をいまや公然と批判し始めている。
文正仁氏は9月5日ソウル上岩洞MBC公開ホールで「北東アジアの中心から未来を見る」をテーマに開かれた未来カンファレンス2018の基調講演で、「(北朝鮮の核にすべてをかけると)、北朝鮮の改革開放を引き出すのが困難になるばかりでなく、北東アジア多国間安保システムの構築も難しい。さまざまなことを同時多発的にしなければならない」と語り、「南北関係が朝米関係の付属物になってはいけない」と主張した。
また「朝米関係がうまくいかない場合は、南北関係を先に進展させ、朝米関係もよくなるようにする革新的な姿勢が必要だ」と強調し、「米朝、南北が歩調を合わせなければならない」とする米国の主張を真っ向から否定した。
彼はまた「北朝鮮に対し、米国のように否定面を大騒ぎする「否定的強化(negative reinforcement)」を適用するよりは、賞賛する「正の強化(positive reinforcement)」をする姿勢が必要だ」とし、「賞賛を先にして北朝鮮が非核化で具体的な進展を見せれば制裁緩和に入り北朝鮮を変えればよい。米国の「否定的強化」方式のアプローチでは間違っている」と主張した。
金正恩政権の本質を普通の子供のように描写するこの詭弁にこそ、北朝鮮と共に連邦制に進もうとする彼の反憲法的本性が集中的に示されていると言えるだろう。
(下に続く)
トップ画像:2018年5月23日の米韓サミットの様子 出典 韓国大統領府
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