プーチン突然の提案 悲観の必要なし
Japan In-depth / 2018年9月19日 17時31分
宮家邦彦(立命館大学 客員教授・外交政策研究所代表)
「宮家邦彦の外交・安保カレンダー2018#36」 2018年9月17-23日
【まとめ】
・プーチン氏の「年末までに前提条件なしで平和条約締結を」との提案に安倍首相が反論しなかったことが批判された。
・日露交渉の目的として最低限達成すべきは、ロシアとの対話を続けること。
・台風21号に関連した中国のfakeニュースで台湾への世論工作が展開されたとの見方。
【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て表示されず、写真説明と出典のみ記されていることがあります。その場合はJapan In-depthのサイト https://japan-indepth.jp/?p=42048 でお読み下さい。】
先週はプーチン大統領の「突然の提案」のお蔭で日本は大騒ぎだったが、海外主要紙は殆ど報じていない。NYT電子版に至っては「Russia's Putin Says His Japan Peace Treaty Proposal Was No Joke」というロイター電を短く編集した記事を流しただけ。このヘッドラインを読む限り、欧米の読者にはチンプンカンプンだろう。
この「提案」なるものが東京で大ニュースとなるのは仕方ない。日本では、プーチン氏がウラジオストックの東方経済会議の質疑応答部分で、「今頭をよぎったことだが」と前置きし、「年末までに前提条件なしで平和条約を締結しよう」と述べたこと、更にはその場にいた安倍首相が反論しなかったことが大いに批判された。一体なぜなのか。
今週は英語コラムしか書く場がないためJapan Timesに書いた。日本語版はないので、ここで簡単に要約しておく。
要するに、
①プーチン氏の提案は突然の思い付きなどではなく、周到に計算された反撃だ。
②主要各紙の社説で安倍首相の「沈黙」を批判する向きもあるが、これは所詮、総裁選も含めた内政がらみの話だろう。
③最も重要なことは、ロシア・プーチン氏の考え方や立場が近年ほぼ一貫しており、「北方領土の帰属の問題を解決」して平和条約を結ぶこ とに消極的なことだ。北方4島での「共同経済活動」が主権の問題も あり簡単には動かないから、ここで一発仕掛けてきただけだ。され ば、別に驚くべき提案でもないし、何も悲観する必要はない。
-
-
- 1
- 2
-
この記事に関連するニュース
-
プーチン氏、停戦はウクライナの事実上の「降伏」が条件と主張 ゼレンスキー氏も停戦否定
産経ニュース / 2024年7月5日 7時38分
-
兼原信克 安倍総理の遺産 対中国「核対峙の時代」に備える「真の日米同盟」とは 安倍総理の遺産、日本独自の反撃能力「通常兵力の大増強」が必要
zakzak by夕刊フジ / 2024年7月1日 15時30分
-
ニュース裏表 峯村健司 「露朝条約」にいらだち募らせる中国、三角関係に〝きしみ〟プーチン氏の訪朝、東アジアの国際秩序に地殻変動もたらす
zakzak by夕刊フジ / 2024年6月29日 10時0分
-
トランプ氏返り咲きに備え、海外の同盟国 バイデン氏討論会苦戦で
ロイター / 2024年6月29日 2時55分
-
併合4州から撤収なら交渉用意 ロシア大統領「現実的和平案」
共同通信 / 2024年6月14日 21時42分
ランキング
-
1小池氏が都知事3選=石丸、蓮舫氏ら破る―保育無償「制度設計を推進」
時事通信 / 2024年7月7日 23時47分
-
2円安・物価高の一因「異次元緩和」の後処理策「資産課税くらいやらないと」 石川和男が指摘
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2024年7月7日 9時0分
-
3石丸伸二氏「国政も選択肢」=広島1区に言及―都知事選
時事通信 / 2024年7月7日 21時56分
-
4都知事選で3選確実の小池百合子氏「東京大改革をバージョンアップさせる」…支援者ら前にあいさつ
読売新聞 / 2024年7月7日 20時30分
-
5KDDI財団理事長を逮捕=覚醒剤所持容疑―警視庁
時事通信 / 2024年7月7日 17時36分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)