トランプ娘婿主導の中東外交の危うさ
Japan In-depth / 2018年9月28日 10時34分
▲写真 ネタニヤフ首相 出典:パブリックドメイン
▲写真 ムハンマド・ビン・サルマン氏 出典:photo by Mazen AlDarrab
ジャレッドは当初から「最大の懸念はイランの影響力拡大であり、米国が中東で関与を続けるためにはサウジとイスラエルを支援する必要がある」と主張していた。当時のティラソン国務長官やマティス国防長官らが疑問を呈する中、大統領の娘婿は政権内で新大統領の初外遊先をサウジとすべく暗躍した。マクマスター国家安全保障担当大統領補佐官は「誰の仕業だ」と激怒したそうだ。
▲写真 ハーバート・マクマスター国家安全保障担当大統領補佐官 出典:U.S. Army Public Affairs
暴露本によれば、クシュナー夫妻を最も目の敵にしたのはバノン首席戦略官だった。クシュナーはバノン等に不利な情報をメディアに流す常習犯だったし、イヴァンカはホワイトハウスでの彼女の振る舞いに苦言を呈したバノンに、「私はスタッフなどではなく『大統領令嬢(First Daughter)』よ」と言い放ったそうだ。
▲写真 左からイヴァンカトランプ氏、ジャレッドクシュナー氏、ドナルドトランプ大統領(2018年6月17日父の日に合わせて投稿された写真) 出典:イヴァンカトランプ氏 Instagram
暴露本によれば、中東政策に関し最も重要な役割を果たしてきたのはマティス国防長官だ。中東での経験の長い同長官は中国よりもイランに強い懸念を有している。同長官は、シリアのアサド大統領暗殺を求めた大統領指示などの無理難題を見事に黙殺しつつ、大統領には強く反対も意見もせず、忍耐強く仕事をしている。
逆に言えば、万一、マティス長官が辞任に追い込まれれば、これまで大統領の下でジャレッドが主導してきたオバマ中東政策の「意趣返し」的大転換に歯止めが効かなくなる恐れがあるかもしれない。今週は講演会があるのでこのくらいにしておこう。いつものとおり、この続きはキヤノングローバル戦略研究所のウェブサイトに掲載する。
トップ画像:ジャレット・クシュナー米大統領上級顧問(右から2番目)とイバンカ・トランプ米大統領補佐官(一番右)、イスラエル・ネタニヤフ首相夫妻(左から2番目と3番目)と。2018年5月14日米大使館エルサレム移転記念式典にて 出典 在エルサレム米大使館
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