プロとアマの壁が崩壊して起きること
Japan In-depth / 2018年10月5日 11時21分
為末大(スポーツコメンテーター・(株)R.project取締役)
【まとめ】
・現在のプロとアマチュアの違いは雇用形態ぐらいである。
・SNSを含む表現方法の普及によってプロとアマの境目がなくなっていく。
・自分で目利きできる能力、その領域に詳しい人が誰かわかる能力が必要である。
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日本にいなかったので見ていないが、facebookの評価を見ていると、紅白で踊った登美丘高校ダンス部がとても盛り上がったらしい。プロがたくさんいるステージで見ても楽しめるレベルだったということはとても興味深い。
ここ数年で、プロ宣言をするアスリートが増えたが、JOCが肖像権一括管理をしていることからぬけることをプロと呼んでいた頃と違い、現在のプロはほぼアマチュアと違いがない。違いがあるとすれば雇用形態の違いぐらいだろう。アマの駅伝選手がプロ選手よりもプロ的な日々を過ごしているのはよく知られている。
そもそもアマチュアとプロフェッショナルとは何か。いろんな見方があるが、私は技能のレベルが一段違い、またその技能によって生計を立てているという認識でいる。ではアマとプロの技能は本当に違うのかというと、もちろん違うところも大いにあるが、領域によってはさほど差がない。
これまではそれでも何かしらの免許や、有名人として認識されることや、ある種のお墨付きによりプロとアマの境目が別れていたが、今後snsを含みあらゆる表現方法が誕生してくるとその境目がなくなっていくだろう。おそらくとてつもないレベルのプロ中のプロの世界と、それ以外のプロとアマが混在した世界に二分化されるのではないか。プロより上手いアマ、アマより下手なプロが誕生すると、次に困ることになるのが、一部を除いて一体誰が本当にすごいのかがわからなくなることだ。
もちろん目利きができる人はいちいちプロだアマだと言われなくても、誰がすごいのかを自分の目で判断するが、それができる人は限られていて、多くの人はテレビに出てるから、権威があるところに評価されているからという理由でその人をすごいと認識する。つまり評価者がお墨付きを与えることに依存している。ところがこのお墨付きがそれほど確かではないというのがわかってきたのが昨今だと思う。もはや何がすごいことかの評価は個人に委ねられた。
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