対中戦略 米ルビオ議員と連携せよ
Japan In-depth / 2018年10月22日 9時52分
島田洋一(福井県立大学教授)
「島田洋一の国際政治力」
【まとめ】
・トランプ氏は戦略部門で中国経済を空洞化させるところまで視野。
・米政界でマルコ・ルビオ氏は日本が最も連携を確保すべき存在。
・日本側にも厳しい対中姿勢でまとまった組織作り、実ある議員外交を。
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トランプを少しでも評価するとインテリと思われないのでは、という怯えに似た感情が、特に大学教員などに広く見受けられるが、少なくとも彼の並外れた政治的スタミナと突破力は等身大で捉えておかないとアメリカを見誤る。
対中国政策がよい例である。大統領選用にまとめた著書『傷ついたアメリカ』(Crippled America, 2015)でトランプは次のように述べている。
「中国を敵と呼ばない方がいいと忠告してくれる人たちがいる。しかし、中国は敵そのものだ。彼らは低賃金労働でわれわれの産業全体を破壊し、何十万という職を奪い、企業にスパイを入れ、テクノロジーを盗んでいる」。
自分もビジネスマンとしては、そうした現実を所与に利益の最大化を図らざるを得なかったが、
「政治家とビジネスマンは違う、…アメリカの世界政策の問題として、中国の有利性を奪い取らねばならない」
と言う。
「中国には特別の注意を払う必要がある。保護主義政策とサイバー窃盗によって我々の足下を掘り崩すことはもはや許さない」。
同様の宣言を高らかにしたアメリカの大統領候補は過去に少なからずいる。ところが実際に政権の座に就くと、単なる弥縫策以上に出ないのが通例だった。その点トランプは「習近平は本当にいい男だ」と褒め殺しで牽制しつつ、対中圧迫を着実にレベルアップさせている。戦略部門で中国経済を空洞化させるところまで視野に入れていよう。
中国が本気で反撃ないし嫌がらせに出るなら、例えば世界市場で圧倒的シェアを占めるレアアースの対米輸出を停止すればよい。アメリカは追加関税対象からレアアースを外しており、そこが弱点であることをいわば公にした上で攻撃に出ている。相手が日本なら、中国はとうの昔にレアアース禁輸に踏み切っているだろう。しかしトランプ相手にはできない。ここに力関係が端的に窺える。
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