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アメリカを侵す中国 その1 統一戦線工作

Japan In-depth / 2018年10月22日 23時0分


▲写真 中国の軍事拠点化が進む南シナ海・南沙(英語名スプラトリー)諸島のファイアリクロス(中国名・永暑)礁(2017年12月14日CSIS公表)出典:米戦略問題研究所(CSIS)ホームページ


こうした変化を迎えたアメリカの首都ワシントンでは「ユナイテッド・フロント」という言葉がしきりに聞かれるようになった。政府や議会、あるいは民間で、とくに中国にかかわるアメリカ側の関係者たちが熱をこめて、この用語を使うのだ。


この言葉は英語では「United Front」、つまり「統一戦線」という意味である。本来は中国語の英語訳で、中国共産党中央委員会に直属する機関の「統一戦線工作部」の名称なのだ。


そんな中国共産党の組織の略称がなぜいまのワシントンで頻繁に提起されるのか。この点にこそトランプ政権下のアメリカが中国に対して前例のない強硬姿勢を固めたという実態が象徴される。同時に中国のアメリカに対する敵意に満ちた策謀が米側にとっても明らかになった、ともいえる。


トランプ政権は中国に対する政策をオバマ政権時代とは根本から変えて、中国の無法な膨張を力さえも使って抑えこむという厳しい態度をとるようになった。中国をアメリカの基本的な国益や価値観を侵す潜在敵に等しい存在だとみる認識が定着したのだ。


この中国敵視の態度はトランプ政権だけではない。連邦議会でも中国への激しい警戒や対決の気運が広まった。共和党、民主党の区別なく、トランプ政権の対中姿勢がまだソフトすぎるという声さえ出るほどである。


いまのアメリカのこうした中国に対する強固な対決姿勢は最近の日本での動きとは対照的である。日本では中国との関係に「友好」とか「蜜月」などという表現さえが使われるようになった。中国の「一帯一路」構想にすり寄る動きさえが出てきた。中国のみせかけの微笑に引き寄せられた観がある。


だがアメリカ側は正反対に中国への非難や圧力をかつてないほどに強めるようになったのだ。その結果の一つとして登場してきたのが「統一戦線」という用語なのである。


(その2に続く。全5回)


 


*この連載記事は月刊雑誌「WILL」2018年11月号に掲載された古森義久氏の「米国の怒り 中国を叩き潰せ!」という論文を一部、書き換え、書き加えた報告です。5回に分けて掲載します。


トップ画像:談笑するトランプ米大統領と習近平中国国家主席(2017年11月11日 ベトナム・ダナンAPEC)出典:The White House facebook


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