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加速する日本の流通システム改革

Japan In-depth / 2018年11月23日 12時43分


▲写真 シェーファー社のハンドリングシステム 出典:Schaefer


 


■ ユニクロや半導体、食品、医薬品も自動搬送


ユニクロは今年10月、eコマース用の自動倉庫を本格稼動させたが、省人化率90%の世界最先端、最大級の自動倉庫の構築に中心的役割を果たしたのが世界最大手のダイフクだった。顧客にはユニクロ以外に半導体・ディスプレイ、食品、医薬品などの製造、流通、運輸などの業種も抱える。


少子高齢化が進む日本だけでなく人件費の高い欧米や最近労務費が高くなってきた中国などでも工場、倉庫を使わないで自動化、省力化が進んでいる搬送システムが注目されているのだ。また最近は空港手荷物搬送システムも注目され、航空機への積み込みまでを自動化した手荷物の搬送システムや自動チェックインやセキュリティなど空港内の設備監視・制御までを担うシステムまで扱い始めている。


 


■ ジャスト・イン・タイムの搬送・納入


ダイフクは1937年に大阪市で製鉄用鍛圧機械を製造したことからスタートした。しかし大きく変わったのは、約20年後の1959年にトヨタ自動車に日本初のウェブ・コンベヤーを納入。トヨタとの付き合いが始まってからだ。トヨタが稼動させた日本初の乗用車専門工場の自動生産ラインを納入したのがきっかけだった。


トヨタの要求に応ずるため必死となったのだ。余計な在庫を持たないようにするためには決められた時間に部品を決められた部署に持っていかなければならない。搬送機器がトラブルを起こし、生産ラインが止まれば、トヨタの強さの秘密であるジャスト・イン・タイムもストップしてしまうからだ。こうしてダイフクはトヨタの厳しい品質管理、納入時間の厳守などを学んで共に進化してきたのである。


ただ、現代のマテハンは、既存事業の強化だけでなく新たな市場の変化に対応することが求められている。荷物の小口化、個配化、多頻度配送が増え、さらにネット通販の発展に伴い、より多方面、多品種、多頻度の配送が求められるので独自の小口配送システムの確立が重要になっているのだ。従来の顧客の引き合いに対応しているだけでは激しい流通業界の競争に立ち遅れるので、常に先取りできる流通システムの構築が求められているのである。


 


■ 運ぶ、仕分ける、搬送で企業の下支え


いまや2万アイテムを扱い、1日平均5000件のオーダーを受注後、平均で約3時間のうちに出荷するという。しかもダイフクのマテハンは世界規模で展開しており売上高に占める海外比率は67.3%(2018年3月期)で、世界の23の国と地域に拠点を設けている。北米は自動車、IT、流通、サービスの中心の国なので、アメリカでトップを目指すとともに今後は中国、ASEANでも伸びが顕著な自動車、エレクトロニクス、飲料、食料、医薬品、ネット通販などの分野でコンサルティングからアフターサービスまでの一貫体制を目指しているという。


マテハンの活用は「運ぶ、仕分ける、保管する」を究めることにあるが、新サービスの提案力、新市場の創造力を求めているうちに日本の企業の底力を底上げする役割を担ってきたといえる。将来は瞬時に正確にモノを届ける技術の開発が流通業を制するカギになってくるという。いまや流通システムの改革は、企業競争力の中で極めて大きなウエイトを占めるようになっているといえる。


トップ画像:ソーターシステム 出典:株式会社ダイフク ホームページ


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