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「ゴーン・ショック」仏国内の反応

Japan In-depth / 2018年11月28日 16時4分

しかしながら、フランスのルメール経済・財務相は、事件の背景に日産の権力闘争があるとの陰謀論が出ていることについて、はっきりと「陰謀とは思っていない」と否定し、フランス政府としてはそうは考えてないことがうかがえる。



▲写真 ルメール仏経済・財務相 出典:ルメール氏のツイッターより


 


■ フランス人のゴーン氏への意見はまちまち


一言フランス人と言っても、各社会階層や立ち場によってフランス人のゴーン元会長への意見は大きく変わってくる。現在、フランスで増税に反対する労働者による黄色いベストのデモをしている人の中には、低い賃金で生きていくのにも大変な労働者も多く、多額の収入を得ている階層の人々に対して辛辣な意見をもっている人々も存在する。そのため、多額の給料を受けていたゴーン元会長に対しても否定的な発言をする人も多い。


黄色いベストのスト参加者のツイートでは、デモが行われているシャンゼリゼで日本人観光客を見かけて「カルロス・ゴーンの件、ありがとうございます」と言ったという書き込みも見られた。


しかし、特に大会社の社員や、会社の上層に属する人の多くはまた意見が違う場合が多い。


25日のBFMTVのテレビ出演でルメール経済・財務相も述べていたが、


「日本では、カルロス・ゴーンは、何千万ものユーロを受け取ったと非難されているだけでなく、日産の豪華な別荘を購入したこと、さらには姉に給与が支払われていたと言われているが、フランスは現時点では、日本でのこれらの行動を証明する証拠や書類は受け取ってない」


このことを理由に、これらの日本側の主張は何かの間違いなのではないかと疑っており、現在「一日3杯のお米のご飯」しか与えられない生活を送っていることに対して、心配する声と、日産に対する不満の声がささやかれている。


 


■ 日本とフランスでの認識にも違い


フランスでは、ゴーン元会長は「神」ほどの存在であり、マンガになるほど人気があったという報道もあり、フランスではゴーン元会長は日本人の中で英雄と扱われているとの位置づけであった。それゆえに今回のニュースは思いもよらない衝撃であった。フランス政府からも多すぎるのではないかと指摘されるほどの多額の給料を得ていたのは、とても有能であるからこそ日産からの熱い感謝の気持ちの表れだ、ぐらいに理解されていたかもしれない。確かにフランスでは、以前からゴーン元会長が日本で華々しく活躍していることを伝える報道が多い。最近では、ルノー・日産自動車・三菱自動車が、フランスでバンの生産を拡大し、フランスに仕事をもたらし雇用を増加させると大きな期待が寄せられていたところだ。


日本側は、持ち株の割合の不平等さに不満をもっていたとする報道は現在もある。しかし、日本のNHKが報じたような、日産の社員が語る労働者側の苦しみなどはフランスで紹介されたことはほとんどない。それは、現在フランスの労働者が行っている黄色いベストを着たデモで「政府は労働者のことを何もわかっていない」と主張していることとどこか共通点があるかのようだ。


いずれにしろ、現在フランスでは黄色いベストのストの報道に大きく時間が割かれており、ゴーン元会長のニュースを伝える時間はさほど長くない。今のところ、日本の報道からの引用が一日遅れてやってくるだけのことも多いのが現状だ。


トップ画像:カルロス・ゴーン容疑者 出典:Norsk Elbilforening(flickr)


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