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故ブッシュ大統領と日本の絆

Japan In-depth / 2018年12月5日 11時40分

ブッシュ氏は子供のころ、気前がよいことで知られていた。オモチャでもキャンディでも自分の持っている品物を友人たちに「半分あげる」と提供するのが常だったというのだ。大富豪の上院議員を父に、敬虔なキリスト教徒を母に、慈善の徳を説かれて育ったための寛大さだったらしい。


その傾向は政治指導者となってからも「敵や競争相手に甘い」という批判となることがあった。ソ連や中国への対応をときには共和党強硬派から「寛大すぎて相手を延命させ、増長させた」と非難されたのだ。だが穏健とか中道とされながらも、保守主義への確固たる信奉は明白だった。


ブッシュ氏は第二次大戦中、米軍最年少のパイロットとして太平洋戦線で日本軍と戦ったことでも知られる。父島の日本軍を爆撃中に撃墜されたが、海上で救出され、九死に一生を得た。だが戦後の日本や日米同盟の重視の姿勢は強く、1991年12月の日本軍パールハーバー攻撃の50周年記念日には「かつての敵もいまこそ無二の盟友」と日本とのきずなを強調した。



▲写真 Visiting Quantico, January 1997 出典:Frickr USMC Archives


ブッシュ大統領は92年1月の訪日の際、公式の晩餐会で体調の乱れから隣の宮沢喜一首相(当時)の膝に倒れかかったことでも話題を集めた。


私自身は1992年にそのブッシュ大統領に直接、質問をする機会を得て、日本の憲法についての彼の珍しい公式意見を聞き出したことがある。


ホワイトハウスでの公式記者会見だった。その場で私は当時、アメリカ側で出た日本の憲法の改正を米側でも促進すべきだという意見についてブッシュ大統領の意見を問うた。


ブッシュ氏は「日本自身が改憲を求めるならばアメリカとして問題はない」と答えた。日本の自主性を重んじ、日本国民の判断への理解を示す言葉だった。


日本の憲法のあり方はあくまでも日本自身が決めることだが、日本の安全保障に責任を持ち、なおかついまの日本国憲法の草案を作ったアメリカは日本の憲法のあり方には深いかかわりを持ってきた。そのアメリカの大統領が公式の場で日本の憲法改正への動きについて論評したことは、これが初めてだった。


ブッシュ氏は健康管理の徹底さでも知られていた。現職大統領時代でも毎日、ジョギングなどに励んでいた。2009年6月の85歳の誕生日には高空の飛行機からパラシュートで地上に降下して元気な長寿を祝っていた。



▲写真 バーバラ夫人と 2001年9月 出典:U.S. Department of Defense(Public Domain)


 


トップ画像:W/Gerald Rudolph Ford, Richard Nixon, George Bush, Ronald Wilson Reagan and James Earl Carter 出典:Wikimedia Commons


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