国産戦闘機F-3が上手くいかない3つの理由
Japan In-depth / 2018年12月8日 11時0分
■ コスト抑制がない
第3はコスト抑制の不存在だ。F-3は高コスト要素を多数含んでいる。だが、それを抑える工夫や見込みはどこにもない。その点でも構想は険しい。
まず、双発のため高くなる。大出力国産エンジンF9はどうしても高くなる。さらにそれを1機あたり2ヶ搭載するのだ。予備を含むエンジン代だけでも馬鹿にならない。
また、レーダも高くなる。半導体を用いた直接発振方式が構想されている。真空管式と比較して故障は減り寿命は伸び発振効率も上がるが価格も上がる。その上、日本独自のネットワーク開発費も追加される。
▲写真 F-2 F-2戦闘機も少数生産で価格は高騰した。なにより価格低減の試みはなかった。例えば機体を金属で作り、操縦系統を光ファイバではなく電線とし、航続距離延伸も背部燃料タンク増設で解決すれば安くつくれしかも長持ちしただろう。出典:航空自衛隊ホームページ「主要装備 F-2A/B」
F-3構想にはクラウド・シューティング能力付与が含まれている。自分が探知した目標を別の戦闘機のミサイルで攻撃する。あるいは飛んでいる自軍ミサイルの目標を任意に変える。まずはそのような技術だ。
もちろん能力としては結構である。米海軍の分布式殺傷、Distributed Lethalityでも似たような技術導入が見込まれている。時代には即している。だが、その実現には専用器材が必要となる。遅延がないリンクや対応ミサイルだ。これも国産ではいくらになるかわからない。
つまりF-3戦闘機はどうやっても高くなるのだ。
そして、その高コストを逓減する工夫や見込みはない。生産規模100機、多くても200機ではスケールメリットも生まれない。開発費の頭割りも過重となり量産効果もさほど見込めない。
この点でもF-3は危うい。「導入中のF-35戦闘機を買い増したほうがマシ」と判断される。開発費もかからない上、性能も確定しており納期も見えている。*2
*1 コバート戦は、80年代に対潜戦概念として生まれた用語である。それを仮借した。
*2 日米、日英共同開発も価格や納期からF-35に対して不利であり現実味はあまりない。開発元ほかは「安くできる、納期は守る」と宣伝するが戦闘機開発が安く済んで締切を守れた試しはない。
トップ写真:国産兵器は軍事ファンの関心に応える。勝手に万邦無比の高性能とヨイショされ不都合は意識的に見おとされる。写真はステルス実証試験機X-2、先行する諸外国の焼き直しだがやはりヨイショされた。出典:WIKIMEDIA; Hunini
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