遠い国のあなたへ~少女の笑顔が消えるその前に~ サヘル・ローズ氏
Japan In-depth / 2018年12月8日 18時0分
▲写真 サヘル・ローズ氏とフォトジャーナリスト安田菜津紀氏 ©Japan In-depth編集部
インドネシアでは著しい発展を遂げる都市部に対して、農村部では未だ貧しい生活を強いられている国民が少なくない。今回サヘル氏が訪れたソエという活動地域では、乳児死亡率は4.5%(日本は0.3%)に上り、改善された水源の利用率も23%に留まっている。実際、アナも5ℓもの水を村唯一の水道から家まで運ぶことを日課としており(一日2回)、彼女と一緒に水汲みを体験したサヘル氏も「本当に大変な仕事」と話した。
サヘル氏はアナの通う学校も訪問した。その学校はプラン・インターナショナルが建てたものであり、そこに通う子どもたちの姿勢からは学校に通える喜びや勉強出来る嬉しさが滲み出ていた、とサヘル氏は語った。
一方で、未だ子どもへの教育は十分であるとは言えないとも話した。「学校を訪問した時に校長先生から一番初めにお願いされたことは、保護者に教育の大切さについてメッセージを送って欲しい、ということだった」そうで、貧しさから経済的にも時間的にも子どもを学校に通わせる余裕がないこと、その余裕の無さが保護者の教育に対する理解を不十分にさせていることなどを実感したと述べた。「教育は裏切らない」とサヘル氏は繰り返し、問題を根本的に解決して教育を普及させていくことが非常に重要だと語った。実際、子ども、特に女の子に勉強の機会を与えることが将来的にその地域にプラスに働くことが明らかになっているとの調査結果もある。
▲写真 プラン・インターナショナルが建てた学校の様子 ©Japan In-depth編集部
急速に変わりゆく世界の裏側で取り残され、困難に直面する子どもたちの現状を追った同番組の収録を終え、サヘル氏は「アナに会えて良かった」と話した。現地を訪れたことで「アナや現地の子どもたちのことを身近に感じた。彼女たちの生活環境が見えたことで、心に寄り添うことが出来た」と語り、日本からの支援がどう還元されているのかを確認することが出来たことに大きな価値を見出したと言う。
最後にサヘル氏はイベント参加者に向けて「平和ボケしないで欲しい」と訴えた。「こういう活動をしていると”偽善者”だと言われることもあるが、それでも良いと思っている」とも話し、自分なりの問題への関わり方を見つけて発信していくことが大事だと述べた。
遠く離れた地で起こっている問題を他人事にしない為に、例えば「インドネシアと聞いたらアナのことを思い出してみて欲しい」と言う。日本に住む自分たちも少なからずこの問題に関わっているという当事者意識を持ち、そこに住む人たちや問題の渦中にある人たちの存在を心に留めることも、問題解決に繋がるのではないか、と語った。
▲写真 支援を必要とするチャイルド ©Japan In-depth編集部
平和な国で不自由ない生活をしている私たちがすべきことは何か。困難な状況にありながら、未来を切り開いていこうとする彼女たちの為に何が出来るのか。一当事者として考え続けていく必要がある。
「遠い国のあなたへ~少女の笑顔が消えるその前に~」(BS12)番組URL:https://youtu.be/jHl4Q-K4s6I
トップ画像:学校に通うアナの真剣な表情について語るサヘル氏 ©Japan In-depth編集部
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