華為(Huawei)の危険性を遡る
Japan In-depth / 2018年12月12日 13時22分
●下院委員会の公式質問状
手元に二通の公式書簡がある。去る6月12日、米下院インテリジェンス特別委員会が件の「華為技術」と「ZTE」の経営者に対し3週間以内の情報開示を求めたものだ。・・・同書簡カバーレターには、今回の目的が「中国政府と潜在的に関係を持ち得る中国企業が米国の死活的インフラと防諜体制に与える脅威について調査すること」だとはっきり記されている。どうやら委員会の目的は貿易・経済ではなく、あくまで安全保障のようだ。
●相当悪質な華為とZTE
冒頭では華為とZTEに「疑惑が浮上」と書いたが、こうした疑惑は実は今回が初めてではない。それどころか、過去数年間だけでも、世界中でこの二社が製造した通信設備・機器などにつき、安全保障上の重大な懸念が指摘されている。
例えば、インド政府は2010年3月から、華為技術やZTEなどの通信設備・機器輸入を事実上禁止したという。これらの製品には盗聴用の特殊なチップが組み込まれており、遠隔操作で機密性の高いネットワークへの侵入も可能になるというのが理由だ。
また、同年10月のワシントン・ポストは、米国家安全保障局(NSA)が2009年末、AT&Tに対し華為技術の通信機器は中国情報機関のスパイ活動に利用される恐れがあるので取引を見合わせるよう警告していたと報じている。
●翌2011年11月には、件の米下院インテリジェンス特別委員会が、華為技術やZTEを含む中国企業が米国の安全保障と通信インフラを脅威に曝しているとして予備調査を開始している。今回の質問状はこの調査の延長上にあるものだ。
更に、本年3月にはオーストラリアでも同様の問題が起きている。豪連邦政府は同国ブロードバンド網(NBN)整備計画において華為技術の応札を禁じ、パース・シンガポール間の海底ケーブル敷設事業でも情報の安全性につき調査を始めると報じられた。
●つい最近も米国ZTE製のスマートフォンに通常ではあり得ない異常な「バックドア(情報流出のための重大な脆弱性)」が見つかったという。特定のパスワード入力で端末のコントロールが可能になるそうだが、専門家は単なるミスや偶然では起こり得ないと主張する。
このほかにも、最近では欧州連合(EU)が華為技術とZTEに対し反ダンピング調査を開始すると報じられた。華為技術の創業者・任正非氏は人民解放軍出身、ZTEは中国国有企業との関連が深い。中国政府の圧力・関与を懸念する声はどうしても消えないのだ。・・・・・(以下略)
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