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クラウンセラピー ちょんまげ院長の試み

Japan In-depth / 2018年12月16日 18時0分

パッチ・アダムスは、1971年にヴァージニア医科大学を卒業すると、ウェストヴァージニア州のポカホンタスに「ゲズントハイト・インスティテュート」を立ち上げた。これは「お達者で病院」という意味だ。彼は、この施設の診療でホスピタル・クラウンを取り入れた。



▲写真 パッチ・アダムス 出典:Wikimedia Commons


ウィキペディアによれば、彼は「7つの信条」を示しているが、その筆頭は「ひとをケアする理由はただ一つ。人間を愛しているからです」と記されている。ホスピタル・クラウンの目的を知る上で示唆に富む。わが国にも、特定非営利活動法人日本ホスピタル・クラウン協会という組織が存在し、2003年から活動している。


同協会の大棟耕介・理事長は、1992年に筑波大学の体育専門学部を卒業し、その後、名古屋鉄道に入社した。1998年には有限会社プレジャー企画を立ち上げ、クラウンや似顔絵師の派遣を始めた。2003年にはクラウンの世界大会(WCAコンペ)のシングル部門で2位に入賞した。


大棟氏がホスピタル・クラウンに関心を抱いたのは、2005年にパッチ・アダムスのロシア病院訪問ツアーに参加したときだ。これ以降、本業のクラウン派遣業とは別に、ボランティアでホスピタル・クラウンとして入院中の子どもに接している。活動について、ご興味のある方は、Youtubeで「大棟耕介」で検索して頂きたい。多くの動画がアップされている。かくの如く、多くの先進国でホスピタル・クラウンが広まりつつある。


実は、ホスピタル・クラウンについては、小児医療の分野で、多くの臨床研究が実施され、有効性が証明されている。2016年にはフィジーの研究者が、過去に報告された19のランダム化比較試験をまとめたメタ解析(複数の臨床研究の結果をまとめて分析)を報告した。19の臨床試験は、外科手術などの侵襲的な処置を受ける小児を対象に、クラウンセラピーを受ける群と、受けない群に無作為に割り振った。メタ解析では、クラウンセラピーを受けた群で、不安スコアは平均して17%減少していた。


話を新村院長に戻そう。常磐病院の非常勤内科医である谷本哲也医師は「新村先生の仮装訪問は、高齢者向けのクラウンセラピーと見做すことも可能だ」という。新村院長は、銭形平次や水戸黄門などに仮装する(写真1)。



▲写真1 銭形平次の姿で患者宅を訪問する新村院長 出典:著者


かつて、ゴールデンタイムに放映された人気番組の主人公だ。高齢者にとって身近な存在だ。ところが、最近、銭形平次や水戸黄門を目にする機会はめっきり減ってしまった。新村医師扮する彼らに出会った高齢者に、どのような医学的な影響があるか、興味深い研究テーマでもある。


谷本医師は若手医師を指導し、毎年20本以上の英文論文を発表している。彼は、新村院長に「臨床研究としても、記録を残しましょう」と提案した。新村院長も乗り気だ。


高齢者とクラウンセラピー。福島県いわき市で、興味深い試みが進んでいる。新村院長は、「いわきのパッチ・アダムス」になるかもしれない。


トップ写真:「殿様」の姿で介護施設を訪問する新村院長。左の着物姿の女性は同行する香本なぎさ看護師 出典:著者


 


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