「ゴーン氏逮捕正当性なし」郷原信郎弁護士
Japan In-depth / 2018年12月25日 8時48分
Japan In-depth 編集部
【まとめ】
・ゴーン氏逮捕に正当性なし。
・将来受け取る報酬について記載義務ない。
・西川社長にも責任あり。
【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て表示されないことがあります。その場合はJapan In-depthのサイトでお読みください。】
日産自動車の前会長カルロス・ゴーン氏が5年度分の役員報酬を50億円ほど少なく有価証券報告書に記載したとして逮捕・起訴された事件で、今月10日、東京地検特捜部はゴーン前会長・ケリー前代表取締役を取引法違反の罪で再逮捕した。12月12日放送のJIDチャンネルでは、郷原総合コンプライアンス法律事務所の郷原信郎代表弁護士をゲストに招き、本件について詳しく話を聞いた。
郷原氏は自身のブログやメディアからの取材などを通じて、ゴーン氏やケリー氏を虚偽記載罪で起訴するのは法的には非常に困難だとの見解を述べている。
放送の中で郷原氏は「現実に受け取った報酬ではないものを、年度の有価証券報告書に記載すべきだったというのはおかしな話」とし、検察側の主張は法的に成立しないと改めて主張した。
さらに、「役員報酬の虚偽記載は、投資判断に大きな影響を及ぼす粉飾決済とは意味が違う。その上、日産の7000億円の売り上げの中では(虚偽の記載がされたと言われている)10億円、20億円というのは微々たる数字」と、仮に検察側が主張するような虚偽記載が行われていたとしてもその影響力は極めて小さく、大々的に報道されている本件に違和感があるとの考えを示した。
写真)ノルウェーでLEAF発表会に臨むカルロス・ゴーン前日産会長 2013年4月
出典)flickr : Norsk Elbilforening
支払金額が決定しており、さらに支払いが確定しているものについては有価証券報告書への記載の義務がある。しかし郷原氏は、「本件においてゴーン氏はもらおうとすればもらえた20億円の受け取りを10億円に抑え、その分、将来的にコンサルタント契約の対価を受け取ろうとしていた」のであり、それは「役員報酬ではなくただのコンサルタント料」であるとの考えを示した。
さらに検察側が「コンサルタント契約は役員報酬を隠蔽する為の偽装契約」だと主張していることについては、「偽装契約だとしたらその契約は無効」と述べ、ゴーン氏に罪はないと考えるのが妥当だと話した。つまり、「将来的にゴーン氏が金銭を受け取る権利を有する場合、それは役員報酬ではなくコンサルタント料。偽装契約ならゴーン氏は金銭を受け取ることが出来ないので、罪はない」と、検察側の主張には大きな矛盾があると指摘した。
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