米中対決、世界を揺さぶる~2019年を占う~【アメリカ】
Japan In-depth / 2018年12月28日 14時21分
中国は習近平政権になって、現在の国際秩序を侵食し、打破しようとする動きを取り始めた。いや、それ以前にすでに始めていたというほうが正確だろう。習近平政権の登場によって、その意図や戦略が明確になったのだといえる。
▲写真 習近平 出典:Photo by Narendra Modi
いまの中国が目指すのは明らかに既存の国際秩序の変革である。政治、軍事、経済、さらには文化までの領域で、アメリカ主導で築かれてきた現在の国際秩序を壊し、立て直そうとする。それこそが中国の戦略目標なのである。
中国は軍事面では近年、画期的,脅威的な軍事力増強を続けてきた。その軍拡をテコに南シナ海では不法な領土拡張を続ける。不法に拡大した島々を軍事拠点とする。経済面でも国際ルールを無視する。他国企業からの高度技術の奪取、知的財産の窃取、自国企業への不公正な支援、政治面での恨みを経済手段で晴らす「強制貿易慣行」を続ける。そして国内では民主主義活動家を苛酷に弾圧する。チベットやウイグルの少数民族を抹殺に近い扱いで浄化する。自国の独裁開発方式を「一帯一路」構想などで世界に広げようとする。
中国の異端な言動は限りない。そうした言動の黙認は日本やアメリカの利益や価値観を正面から否定することに通じる。アメリカのトランプ政権はこれまでの歴代政権の姿勢を根幹から改め、中国のそうした無法で無謀な行動はもう許さないと宣言した。10月4日のマイク・ペンス副大統領の対中政策演説がその集大成だった。中国の膨張に対する新たな封じ込め政策である。
▲写真 マイク・ペンス副大統領の対中政策演説(10月4日)出典:Hudson Institute
トランプ政権の周辺では「この戦いは中国の共産党政権が倒れるまで続く」(戦略問題の重鎮エドワード・ルトワック氏)とまで明言する声がある。また「アメリカ歴代政権の『一つの中国』政策までが再検討される」(米台関係の専門家トシ・ヨシハラ氏)という見解も語られる。要するにアメリカ側の対中対決姿勢はきわめて根幹からの潮流なのである。しかもこれから長期に続くというのだ。
一方、中国側もアメリカとの正面対決を避けながらも、自国の政策の正当性を主張し続ける。習近平国家主席は世界への「中国式統治」の拡大をなおためらおうとはしない。逆にアメリカの「保護主義」や「一国主義」を非難する。アメリカへの抵抗は決してやめようとはしないようだ。
こうした構図から浮かぶ2019年の展望はアメリカと中国とのさらなる対決である。対決の激化、尖鋭化と呼んでもよい。米中の激突が日本を大きく揺さぶることは疑問の余地がない。その日本の対応について日本側の識者の一部には「米中両国間での橋渡しを」というような主張もある。だが現実には日本の拠って立つ位置はあまりに明確である。中国の無法な行動を抑えるアメリカ側、つまり国際社会の民主主義勢力側につく以外には日本の繁栄や生存の道はないのである。
トップ写真:G20サミット(2018)出典:首相官邸Facebook
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