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ポイント還元策増税ショックを拡大 ~2019年を占う~【日本経済】

Japan In-depth / 2018年12月29日 15時32分

 


ポイント還元の期間は、「1年」から「増税から2020年夏の東京オリンピック前の9か月」に短縮しているが、これは増税ショックを増幅するリスクがある。その理由は以下のとおりだ。


 


まず、キャッシュレス決済の対象につき、ポイント還元をする前の消費税率は、2019年10月以前は8%、2019年10月以降は10%であった。また、当初のプランは、2019年10月から1年間という期限で、増税分(2%)のポイント還元を行うというもので、消費税率は、2020年10月以前は8%、2020年10月以降は10%になる。


 


他方、最新のプランは、2019年10月から2020年夏の東京オリンピック前の9か月間という期限で、5%のポイント還元を行うというもので、消費税率は、2019年10月以前は8%、2019年10月から2020年夏までの9か月間は5%、2020年夏以降は10%になる。



写真)安倍首相

出典)Frickr; Chairman of the Joint Chiefs of Staff


 


以上から、当初のプランは、キャッシュレス決済につき、増税(消費税率8%→10%)の時期を2019年10月から2020年10月に延期する政策と理論的に同等だ。


 


また、最新のプランは、2019年10月から2020年夏までの9か月間、一時的に減税(消費税率8%→5%)を行い、2020年夏から増税(消費税率5%→10%)を行う政策と理論的に同等である。


 


 すなわち、ポイント還元前や当初のプランの増税幅は2%だが、最新のプランでは、一時的な減税によって増税幅が2%から5%に上昇しており、増税の反動減を増幅するリスクがある。日本経済では、過去に5%も消費税率を引き上げた経験はない。


 


これでは、増税の反動減対策が切れたときのために、その反動減対策が必要になるという本末転倒なものに陥る可能性が高く、ポイント還元の幅を見直す必要があろう。例えば、2019年10月以降、ポイント還元の幅(5%)を2か月毎に1%ずつ縮小し、10か月間でゼロにする政策に変更してはどうか。現状のプランでは、2020年夏の経済的ショックが大きい可能性がある。


 


 なお、政府はいまの景気拡大期間が2018年12月で73か月になり、2002年2月から2008年2月という戦後最長の「いざなみ景気」に並び、それを上回る可能性が高いとしており、景気循環との関係でも2019年後半以降は慎重な経済運営が望まれる。


 


というのは、内閣府は、「景気動向指数研究会」(座長:吉川洋・元東大教授)の議論を踏まえて景気循環の判定をしているが、2009年3月からスタートした第15循環の景気の山を2012年3月、谷を2012年11月に確定し、その資料を2015年7月24日に公表している。


 


これは現在の景気回復が安倍政権発足直前の2012年11月からスタートしたことを意味するが、この資料によると、過去の景気拡張期の平均は約3年(36.2か月)であることが読み取れる。もっとも、拡張期が6年近くに及ぶケースも過去にはあるが、それでも2018年11月であり、2020年まで拡張期が続く確率は高くない。景気は循環するということも念頭に、そろそろ家計や企業も心の準備をし、様々な対策を検討する必要があろう。


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