フィリピン厳戒 新たなテロ計画
Japan In-depth / 2019年2月15日 18時40分
5人はいずれも「アブサヤフ」の分派である「アジャンアジャン」という組織のメンバーで爆弾テロ実行犯のインドネシア人と直前まで行動を共にしていたとみている。
これまでの捜査では、実行犯のインドネシア人男女は犯行の約1週間前の1月21日にスールー諸島のバシラン島付近からフィリピンに潜入し、逮捕された5人の容疑者の1人であるカマ・パエ容疑者がエスコートしてホロ市まで来たという。その後2人はスールー州ホロ島のパティクルで「アジャンアジャン」の主要メンバーと落ち合い、爆弾テロ計画の詳細を謀議して犯行に及んだとの見方が強まっている。
■ 教会テロ使用の爆弾とアブサヤフの関係
ドゥテルテ大統領は教会爆弾テロの発生後に「アブサヤフ」に対する全面戦争を宣言してフィリピン国軍と警察部隊に徹底的な掃討作戦を指示している。
▲写真 アブサヤフによるテロ現場に花を手向ける当時ダバオ市長のドゥテルテ氏(2009年3月4日ダバオ国際空港)出典:Keith Bacongco flickr
これを受けて治安組織は現在も戒厳令が続いているミンダナオ島周辺に部隊を増派して治安維持と「アブサヤフ」殲滅作戦に当たっているが、1月の教会爆弾テロを受けて特に犯行実行グループの「アジャンアジャン」のメンバー発見を重点的に実施している状況という。
これまでの作戦で構成員は減少しているものの「アブサヤフ」にはなお300~400人の武装メンバーが所属し、治安部隊との戦闘を繰り返している。
そうした中でもたらされた新たな外国人テロリストの潜入とテロ計画の可能性は地元住民に衝撃を与えにわかに緊張が高まっている。特に海外のテロリストと「アブサヤフ」が合流して新たなテロ作戦を実行する可能性があることから、警戒を強めて、外国人テロリストの追跡を実施している。
治安当局が特にアブサヤフの掃討作戦を強化している背景には教会爆破事件で使用された爆弾がこれまでの鑑識活動などから「パイプ爆弾」による自爆テロとみられ、同型の爆弾がこれまでも「アブサヤフ」から押収されているためという。
2016年5月に「アブサヤフ」が占拠していた拠点の奪還作戦で、拠点から発見押収されたのが同じパイプ爆弾だった。この時の作戦では「アブサヤフ」幹部指導者の1人、ウスタズ・アッバス・アラム容疑者とマレーシア人の爆弾製造専門家委モハマド・ナジブ容疑者が戦闘で死亡したことが確認されている。
▲写真 フィリピン海軍巡視艇 BRP Apolinario Mabini(PS 36)出典:U.S. Navy photo by Mass Communication Specialist 2nd Class Mark R. Alvarez
フィリピン南部のミンダナオ島、ホロ島、バシラン島周辺ではインドネシアやマレーシアから海路で不法入国を試みる外国人テロリストを水際で阻止しようとフィリピン海軍などが警戒を強化しているが、漁民に偽装したり、夜陰に紛れたりと巧妙な手口での密入国が続いており、海上警備の強化も急務となっている。
トップ写真:フィリピン・ドゥテルテ大統領 出典:Rody Duterte facebook
-
- 1
- 2
この記事に関連するニュース
-
イスラエルとレバノン「60日停戦」に至った事情 弱体化したヒズボラとイスラエルが迎える試練
東洋経済オンライン / 2024年11月28日 14時0分
-
クルド人の「迫害と弾圧」は今も続いているのか トルコ政府「問題は民族でなくテロ組織」 「移民」と日本人 クルド人が川口を目指す本当の理由④
産経ニュース / 2024年11月27日 11時30分
-
「フィリピン大統領の暗殺を依頼」した副大統領 現職マルコス対前職ドゥテルテの全面対決へ
東洋経済オンライン / 2024年11月26日 19時0分
-
ブラジル最高裁前で男が自爆、侵入試みる G20控え治安に懸念
ロイター / 2024年11月14日 13時9分
-
ミンダナオ島、候補者登録始まる 自治政府樹立へ来年5月議会選
共同通信 / 2024年11月4日 16時43分
ランキング
-
1斎藤知事、逃げ切れても「残される"2つの疑念"」 「公職選挙法違反」疑惑は、ほぼ"ノーダメージ"?
東洋経済オンライン / 2024年11月29日 7時40分
-
2男女の従業員が客を接待…“ミックスバー”と呼ばれる風俗店を無許可で営業か 代表の26歳男を逮捕 容疑認める
東海テレビ / 2024年11月29日 6時54分
-
3「男が女性客を殴った」非番の女性警察官に因縁をつけて顔面殴打、一緒にいた同僚警察官にその場で逮捕…泥酔の72歳の男「覚えていない」北海道小樽市
北海道放送 / 2024年11月29日 8時56分
-
4大阪維新、岸和田市長を調査へ 吉村代表「トップとして判断」 女性との性的関係巡り
産経ニュース / 2024年11月28日 22時23分
-
5時速194キロ暴走は危険運転 遺族「当然の判決」 量刑には疑問も
毎日新聞 / 2024年11月28日 21時0分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください