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トランプの忠実な元弁護士 コーエン氏の反逆 トランプ政権「行く人来る人」列伝3

Japan In-depth / 2019年3月3日 18時0分

ヤクザの親分に代わってこういった汚い仕事をするコーエンのような役割の人間を「フィクサー」と呼ぶのだが、直接命令せずに任務を匂わせ、自らの手を染めずに悪事を犯し、組織の人間には絶対忠誠を守らせ、それを裏切る証言をする者を「ラット(ねずみ)」と呼ぶなど、トランプのビジネスのやり方はまさにマフィアを彷彿とさせる。トランプ不動産から仕事を請け負った業者に正当な金額を支払わないといったことから、大統領選挙運動の際にはトランプの母校に接触して入学試験(SAT)の点数や大学時代の成績を公表しないよう、圧力をかけたことなどを認めた。そういった“脅し”の類は10年間に500回ぐらいはやっただろう、という証言も引き出された。


共和党議員によって自分の証言は信用性がないと言われるのをコーエンは重々承知しており、参考証人としては珍しく、物的証拠を持ち込んでの証言となった。その物証には、ポルノ女優への支払いを肩代わりしたコーエンのために、トランプが自身の銀行口座から振り込んだ時の署名入りの書類や、銀行小切手の写しなどが含まれていた。


今回の公聴会で、特にこれまでのトランプの言い分と真っ向から対立するのは、選挙戦中にウィキリークスが違法に入手したヒラリー・クリントン陣営のEメールを投下することを事前にトランプが知っていたと証言したこと、そして、ロシア側の代表者とトランプ選挙管理委員会のスタッフらが息子のドナルト・トランプ・ジュニアの計らいでトランプタワーで密談したことを、計画段階からトランプが知っていたと証言したことの2つだ。



▲写真 トランプ大統領とプーチン・ロシア大統領(2018年7月16日)出典:White House facebook


その一方で、コーエンの証言の中には、ロバート・マラー特別捜査官の調査範囲である、トランプとロシアとの癒着を裏付ける決定的なものは結局出てこなかった。民主党議員の質問とは裏腹に、共和党議員は誰もが声高にコーエンを嘘つき呼ばわりすることに終始した。だが、公聴会の冒頭で「真実のみを証言する」と宣誓したコーエンが、もしさらに偽証を重ねれば、マラー特別捜査官の指示によってさらに刑期が伸びる可能性があることが指摘されている。


どうやら、連邦政府のもとでマラー特別捜査官が調査しているロシア癒着や選挙戦介入については、議会で共謀の事実があったことを証明するのは難しそうな上に、現職の大統領は起訴できない、というのが今の憲法の理解だとされている。民主党もトランプを国家背信の罪で弾劾するのは無理だと察しているのか、公聴会で下院議員は誰も弾劾のことを口にしていない。


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