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金正恩に非核化の意思なし 2

Japan In-depth / 2019年3月11日 7時0分


▲写真 第2回米朝首脳会談 出典:Flickr; The White House


トランプ大統領と金正恩委員長による2回目の米朝首脳会談が決裂したことで、金正恩委員長の権威は傷つきトップダウン外交は破たんした。首脳の合意を引き出しその上で細かい内容を詰める形の「トップダウン外交」は、首領独裁制の北朝鮮にとって極めて危険な手法であったが、金正恩委員長の野心と焦りがそれを強行させ、結局その権威に大きな痛手をもたらした。


1994年のジュネーブ合意、2005年の6者協議合意などと異なるやり方で金正恩体制を盤石にしようとした金委員長の冒険は完全に裏目に出た。トップダウン方式は最終的に指導者の力量に依存するところとなるが、未熟な金正恩ではまだ無理だったようだ。


金正恩委員長はトランプ大統領の弱みにつけ込み、包括的な制裁緩和を勝ち取ろうとしたが、米国の権力システムや国内状況にあまりにも疎かったたようだ。米国は韓国などとは違い、大統領に対する議会の牽制もあり国益重視で動く官僚たちも多い。また言論の自由も保障されマスメディアの活動も活発だ。


第1回米朝首脳会談では、トランプ大統領の個人プレイによって金正恩委員長があたかも熟達した指導者のように映ったが、具体的問題での真剣勝負になるとやはり30代の未熟なリーダーに過ぎなかった。



▲写真 平壌の中心地金日成広場前に立地する朝鮮労働党本部 出典:Flickr; Mark Fahey


4)金正恩の怒りの矛先は


金正恩委員長はいま怒りに震えているに違いない。その怒りが新たな失策を呼ぶ可能性は十分考えられる。問題はその矛先だ。


まず責任転嫁のために幹部の誰かをスケープゴートにするだろう。そうした粛清に米朝合意決裂の情報流入が重なれば予想外の事態に発展する可能性がある。早くも労働新聞は「金正恩中心の一心団結」を強調し始めた。


次に米国に対する復讐だ。今のところすぐには対決路線に出ることはないと思われるが、新年辞で語った「他の道」の模索に入るかも知れない。


そして文在寅政権の利用だ。今回の米朝会談決裂で打撃が大きかった文在寅大統領だが、相変わらず金正恩擁護の発言を繰り返している。金正恩委員長は文在寅政権に米国から得られなかった対価の補てんを要求してくるだろう。少なくとも開城工団と金剛山観光の再開は求めるはずだ。北朝鮮第1主義の文在寅大統領もそれに答えるために、さらに様々な悪知恵を巡らすと思われる。だが、それは韓国民の反発を呼び起こしことになり、政権のレイムダック化を深めるだろう。


朝鮮半島情勢は、平昌五輪以後の「和平モード」から反転し再び「緊張モード」に逆戻りする可能性が出てきた。第2回米朝首脳会談の決裂は、東アジア情勢に新たな局面を作り出している。


(全2回。1はこちら)


トップ写真:米朝首脳会談後の記者会見 出典:The White House


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