フィリピンにマハティール警告
Japan In-depth / 2019年3月14日 23時18分
大塚智彦(Pan Asia News 記者)
「大塚智彦の東南アジア万華鏡」
【まとめ】
・マハティール首相は中国「一帯一路」政策に関しドゥテルテ大統領へ忠告。
・ドゥテルテ大統領は自国の出稼ぎ労働者待遇を鑑み、中国人労働者に寛容。
・中国政府も「一帯一路は債務の罠」発言に警戒感強める。
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フィリピンを3月6、7日に訪問したマレーシアのマハティール首相がドゥテルテ大統領のフィリピンに対して、中国が進める「一帯一路」政策に必要以上に関わると「債務の罠(わな)」にはまって、深刻な問題になる、と警告した。
さらにフィリピンが抱える約20万人の中国人労働者に関しても「政治的均衡を乱すことに繋がりかねない」と見方を示して規制など何らかの対策を講じるように助言していたことも明らかになった。
マレーシアで2018年5月に政権を掌握して以来、中国との大型インフラ整備構想を見直すなど対中政策を方針転換しているマハティール首相が東南アジアのベテラン指導者として中国経済に過度に依存するようなフィリピンの政策に対して「一言釘を刺した」形となった。
3月7日にドゥテルテ大統領との首脳会談に臨んだマハティール首相は、南シナ海での航行の自由を確認して中国の覇権拡張に共同で対処することなどで意見の一致をみた。さらにフィリピン南部ミンダナオ島などでのイスラム自治政府樹立に関しても仲介役を務めた立場などからフィリピンにおけるイスラム教徒の今後などについて意見を交換した。
▲写真 イスラム教徒ミンダナオ自治地域の遠景 出典:Flickr; Shubert Ciencia
首脳会談前にフィリピンのテレビABS-CBNのインタビューに応じたマハティール首相は、フィリピン政府が新たな高速道路、鉄道、空港、港湾施設、橋梁などのインフラ整備に中国の投資家などからの総額1080万ドル相当の資金援助を向こう10年間受けることに関連して「債務が返済できずに2つの港が中国の管理下になったスリランカのようにフィリピンも中国の“債務の罠”にはまりこむ危険性がある」と警告して、中国が推し進める一帯一路政策には決して気を許すべきではないとの考えを示した。
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