日本企業は日本ブームに貢献したか~ロンドンで迎えた平成~その3
Japan In-depth / 2019年3月29日 8時49分
ショウギ(将棋)・ソサエティに取材に出向いた際は、四番ほど実際に対局した。これでも中学時代は、陸上部と将棋部の両方に入部して変態と呼ばれた男なので、そこそこの自信はあったのだが、結果は1勝3敗。相手が手順前後(本来の手筋とは違う順で指してしまうこと)したおかげで星をひとつ拾っただけであった。
負け惜しみに聞こえることを覚悟して言わせていただくが、あれは到底ヘボ将棋とは呼べないレベルだと思う。
▲写真 ロンドンでの将棋の風景 出典:Shogi London Facebook
くどいようだが、インターネットで勉強や対局ができる時代では未だなかったので、さぞや努力して強くなったのだろう。
このショウギ・ソサエティの取材で今でも忘れられないのは、英国内に将棋を普及させるための会報誌を立ち上げたものの、4000ポンド(当時のレートで30万円ほど)の赤字を抱えて休刊に追い込まれた、という話だ。在英の日本企業に幾度も支援を頼んだのだが、取り合ってもらえなかったという。
大前健一氏がどこかで書いておられたが、氏が経営コンサルタントとして働いていた頃、文化事業への出資を進言しても、日本企業の反応は判で押したように、「その金を出したとして、それで我が社にどのようなメリットがあるのですか?」というものなのだとか。
よく分かる。いや、同調はできないけれど、現実はそんなものだろう、とは思う。なにしろロンドンでは、こんな話まで聞いた。ある日本企業とだけいっておくが、ロンドンに赴任してきた若手駐在員たちが、現地採用された英国人スタッフと、エクスチェンジ・レッスンを企画したという。英国人に日本語を教えて、代わりに英語を教えてもらう、というやり方だ。
ところがこれに、古参の駐在員たち(当然ながら上司である)から横槍が入った。又聞きなので真偽のほどは保証しかねるが、「現地人が日本語を覚えると、連中のいるところで雑談もできなくなるし、やりにくくてかなわん」ということであったらしい。
現地採用された従業員(英国人も日本人もいる)を現地人と呼ぶのもそうだが、ロンドン支社を構えておきながら、従業員が言葉の壁を取り払おうとするのを、むしろ煙たがるとは、本当に、なにを考えていたのだろうか。英語コンプレックスの裏返し、で片付けてしまうには哀しすぎる。
▲写真 オープンなコミュニケーションは大事(イメージ) 出典:pexels; rawpixel.com
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