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中国の南米宇宙基地、米が牽制

Japan In-depth / 2019年4月1日 11時0分

中国の南米宇宙基地、米が牽制


山崎真二(時事通信社元外信部長)


【まとめ】


・アルゼンチンに中国が宇宙基地建設。


・米、けん制と監視のため、緊急事態対策センターを建設。


・アルゼンチン政府、米中間で巧みな外交戦略展開。


 


【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て見ることができないことがあります。その場合はJapan In-depthのサイトhttps://japan-indepth.jp/?p=44969でお読みください。】


 


■ パタゴニアで建設中の米国の施設とは?


アルゼンチンのパタゴニア地方のネウケン州で今、米国が「緊急事態対策センター」(EOC)の建設を進めている。在ブエノスアイレス米大使館によれば、このEOCはアルゼンチンの支援要請に応じ、現地の自然災害対策を目的として建設される。ネウケン市の空港近くの約2ヘクタールの敷地にオペレーションセンター、環境モニター室、500人収容可能な宿泊施設などが作られる計画。工事は昨年から始まっており、早ければ今夏までには完成する予定だという。


EOCの目的について「自然災害への対応や防災だけでなく、ネウケン州の資源開発に関与する米国企業の利益を守ることも重要な使命だろう」とアルゼンチン在住の日本貿易商社幹部は話す。ネウケン州は世界最大級のシェールガスやシェールオイルの埋蔵量があるといわれ、シェブロンやエクソン・モービルなど米国企業がこれら資源の探査・開発に参加している。


だが、EOC建設にはさらに重要な目的が隠されているとの見方が有力だ。アルゼンチンの有力紙「クラリン」は軍事専門家の意見を引用しつつ、このEOCが中南米・カリブ地域を担当する米南方軍の主導で建設されると指摘し、「自然災害対策を隠れ蓑に軍事基地として使用されるのでは」と疑いの目を向ける。ネウケン市の新聞「マニャーナデ・ネウケン」の報道によれば、地元住民の間では、米軍基地化を心配する声が日増しに強まっているという。


 


■ 中国は“宇宙基地”を本格稼働


米軍事基地説が浮上する背景には中国の動きがある。ネウケン州では昨年4月から中国の「宇宙探査センター」が本格稼働した。同センターについて中国政府は「宇宙の平和利用のための観測・探査が目的」と強調する。今年1月に中国の無人探査機が月の裏側に着陸することに成功した際もこのセンターが重要な役割を果たしたという。


 


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