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朝日、中国ミサイルの脅威報道

Japan In-depth / 2019年4月11日 13時10分

日本では中国の軍事脅威は国会でも論題とはならない。とくに野党は日本に切迫した中国の軍事脅威などには完全に背を向け、与党側の些細な欠点の追及に専念する。そんな国内の政治風土もたぶんに朝日新聞を先頭とする国内メディアの長年の異様な中国擁護に起因するといえよう。


その朝日新聞が中国のミサイルの脅威を正面から取り上げたのだ。この記事はほとんどがアメリカの軍事的な情報や判断に依存していたが、その内容を客観的に伝えていた。しかも中国軍基地では日本の横須賀や嘉手納の米軍基地へのミサイル攻撃を想定する仮想の配備図が展示されているというのだった。


朝日新聞のこの記事は中国軍が数百単位の基数の中距離ミサイルを配備しているのに対して、米軍はアメリカがかつて旧ソ連との間で結んだ「中距離核戦力(INF)全廃条約」によりほぼゼロに等しいことも、きちんと報道していた。だからトランプ政権がINF条約の破棄を求め、中国の中距離ミサイルを抑止するため、アジアの日本を含む各地に米側の中距離ミサイルを配備する意向であることも理のある動きのように伝えているのだった。



▲写真 トランプ大統領のINF条約破棄表明を受けてロシアのプーチン大統領も離脱を表明。写真は米ロ首脳会談(2018年7月16日) 出典:The White House facebook


こんな姿勢は朝日新聞としてはきわめて珍しい。米軍の対中警戒を客観的に認め、中国の軍事脅威を批判的に伝える、という姿勢なのだ。しかも中国のミサイルは日本の安全保障にとって脅威だと認めるスタンスなのである。


この朝日新聞の異端の記事は長年、中国の軍拡、とくに中距離ミサイルの大増強を報道してきた私にとって感じさせられるところが大である。私は中国の北京に2年間駐在した期間も含めて、主としてワシントンからもう合計20年ほども中国の軍拡についてくわしく報じてきた。今回の朝日新聞記事の核心である中国の中距離ミサイルの日本への脅威などこの20年間数えきれないほど報道してきた。だから率直に言って、朝日新聞がやっとこの国際安全保障の世界では常識中の常識の中国のミサイル脅威の指摘にやっとついてきたのか、という感慨がある。


ただし朝日新聞のその追随のタイミングや方法は、陸上競技の中距離競走で競技場のトラックを2周以上も遅れて、やっと後尾についたという実感である。だがその遅れてきたランナーには素直に拍手を送りたい。たとえその追随の最大の理由が単なる現実の重みに耐えかねて、だったとしても。


 


トップ写真:核弾頭搭載可能な東風ー21(DF-21A)準中距離弾道ミサイルの運用訓練をする中国人民解放軍兵士。(2018年9月10日) 出典:中国人民解放軍ホームページ


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