「皇室中心の文化立国へ」関東学院大学君塚直隆教授
Japan In-depth / 2019年4月29日 7時0分
細川氏は、天皇陛下が自ら生前退位の意思を表明されたことに衝撃を受けたのは、「どうすれば天皇陛下のご負担が減るのか、皇室の中でどの方がどんな役割を担うべきなのか、考えないまま、ご崩御で代が変わるのがあたりまえだと思ってきたから」と問題を指摘し、今後の検討課題として以下の二点を挙げた。
・生前退位の容認を一代限りとしたことは適切か。恒久的に容認すべきか。
・いかに女性皇族に皇室に残っていただくか。また、女性天皇・女系天皇を認めるべきか。
さらに細川氏は「女性天皇・女系天皇も認めるべきではないか」と自らの考えを述べたうえで、2点目について君塚氏の考えを聞いた。君塚氏は、「避けて通れないと思う」と述べ、「時代遅れ、男女同権という問題以上に、これまで2000年にわたって続いて来た皇室を残す、さらに発展的に残すことを考えたら、その道以外にない」と主張した。根拠として、以下の点を挙げた。
・男の子を生まなければならないというプレッシャーをなくす必要がある。
・1979年スウェーデンが絶対的長子相続制(男女を問わず第一子が優先して継承)を取り、ベネルクス三国、北欧がこれに倣った。約30年後には、イギリスとデンマークを除くヨーロッパの諸国で、愛子さまと同世代の女王が誕生する。
細川氏は、愛子さまが皇位継承権を得ることになれば、「皇位継承者としての教育」や「世界の王室との関わり」が必要だと指摘。愛子さまが成年皇族になる前に、制度変更まで議論を進める必要があるのではないかとの考えを述べた。
君塚氏は、皇室典範の変更について、「憲法のような煩雑な作業は必要ない」「なぜ変更が必要なのか、政府がきちんと説明すれば、国民の大半が納得するのでは」と述べた。2016年のお言葉以来の多くの世論調査で、国民の8割以上が「皇室は残さなくてはいけない」「天皇陛下のお気持ちもわかる」と考えていることが明らかになっているという。
また君塚氏は、「世界の王室との関わりが必要」という細川氏の考えに同意し、日本の天皇制は125代の天皇、2000年以上という世界最長の歴史を持つが、「ヨーロッパその他の現在残っている立憲君主制から学ぶことは多くある」と述べた。
▲写真 ©Japan In-depth編集部
君塚氏によれば、天皇陛下や皇太子殿下は、それぞれ、海外の訪問で知己を得た経験がある。徳仁皇太子は、1982年はじめてブラジルを訪れて以来、のべ94か国を歴訪。今上天皇は、1953年にエリザベス女王の戴冠式に出席、ヨーロッパを歴訪されて以来、オランダ・ベアトリクス前女王、ベルギー・アルベール前国王、スペイン・フアン・カルロス前国王らと親交がある。天皇陛下の生前退位のご意思表明の方法は、すでに退位した彼らに倣っているという。
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