対北朝鮮政策日米に齟齬なし
Japan In-depth / 2019年5月9日 8時30分
拉致問題に関し、トランプ大統領が「複数回取り上げた」と報じられていたが、まさに1回目に金正恩が話題を変えて応じなかったため、改めて取り上げ、日本側に報告するに足る回答を迫ったという経緯だったわけである。
▲写真 南北首脳会談(2018年4月27日 板門店) 出典:韓国大統領府ホームページ
文在寅韓国大統領も、南北首脳会談の場で日本人拉致問題を取り上げたと日本側に伝えてきたが、おそらく日本から資金を得る算段を示唆しただけで、金正恩が話を逸らせば、それ以上深入りしなかったであろう。韓国人拉致を取り上げない韓国大統領が、相手の不興を買ってまで他国民の拉致を真剣に取り上げるとは思えない。
米側が経済協力の条件の1つに人権問題を挙げたのは事実だろう。北に関する累次の米国内法や議会決議に照らせば、人権状況の改善なしに、国交正常化も経済支援もあり得ない。予算権限を持つ議会を説得できないような合意は実質的意味を持たない(そのため、相手から取るものを取った上、「議会が認めなかったので悪しからず」と自らの約束は反故にするといった戦略的対応が時になされる)。
日本の場合は、仮に核問題が解決しても拉致問題が未解決なら、経済制裁解除もいわんや経済協力もあり得ない(少なくとも安倍政権の間は)。一方、拉致問題が解決しても核問題が未解決なら、国連安保理制裁決議に違反するような経済支援は行い得ない。
▲写真 日米首脳会談(2017年9月22日) 出典:首相官邸 facebook
北は、核問題と拉致問題の同時解決を図るしかないと、事態を正確に認識すべきだろう。この点において日米間に齟齬はない。
なお米国内には、拉致問題が解決すれば日本は北に関する他の人権問題には目をつぶって経済支援に走るのかといった疑念の声もある。
それについては、私はこう答えておいた。
「拉致問題がしかるべく解決すれば、救う会は解散となる。以後はメンバー各人が各人の判断で行動することになる。私自身は、北に強制収容所が残る以上、いかなる経済支援にも制裁解除にも反対する」と。
トップ写真:ポッティンジャーNSC上級部長(中央)と拉致議連や家族会関係者 (2019年5月 米・ワシントンD.C.) 出典:古屋圭司(拉致議連会長)facebook
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