人気の米人学者が嘘ニュース
Japan In-depth / 2019年5月30日 8時51分
古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)
「古森義久の内外透視 」
【まとめ】
・イアン・ブレマー氏、トランプ大統領のツイッターを捏造。
・反トランプの民主党議員らはフェイクニュースを「引用」。
・ブレマー氏、捏造を認め謝罪。
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日本の主要メディアでも大人気のアメリカの国際政治学者イアン・ブレマー氏がトランプ大統領のツイッター発信を捏造して、批判の材料に使ったことが判明し、本人も非を認めて謝罪するという露骨なフェイクニュース事件が5月27日、起きた。ブレマー氏は日本の大手の新聞や雑誌に定期に寄稿するほどの活躍ぶりだが、今回は「金正恩は(民主党大統領候補の)ジョー・バイデンより頭がよいとトランプ大統領が書いた」という記述はブレマー氏自身の捏造だったことを認めた。
▲写真 イアン・ブレマー氏 出典:@ianbremmer
ブレマー氏は民主党寄りの国際地政学の専門家で、アメリカの大手雑誌「タイム」の編集委員のほか、国際コンサルタント企業「ユーラシア・グループ」社長を務める。アメリカ国内でも歯切れのよい国際問題の評論で発言を求められる機会が多い。日本やヨーロッパのメディアへの登場も頻繁な著名アナリストでもある。
そのブレマー氏が5月26日に自分のツイッターで「トランプ大統領が『金正恩は眠たそうなジョー・バイデンよりも頭がよく、よりよい大統領となれるだろう』と発信した」と書いた。このブレマー氏の伝えた「トランプ発言」はそのまま反トランプ志向の民主党下院議員やコラムニストたちにさらに引用されて、広まった。その「引用」はみなトランプ大統領の無礼への非難に使われていた。
▲写真 ジョー・バイデン氏 出典:Flickr; Marc Nozell
ところが翌27日、日本を訪問中のトランプ大統領自身が自分はそんな発信はしていないとツイッターでブレマー氏の「引用」を否定した。そのうえで「この種のフェイクニュースに対しては名誉棄損の法律を厳しくする必要がある」と述べた。
同時にワシントンを拠点とするネット・メディアの「ワシントン・エグザミナー」がこの経緯を詳しく取材して、ブレマー氏の発信は事実ではなく、でっちあげだったと断じる報道を流した。
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