カンボジア中国カジノ閉鎖へ
Japan In-depth / 2019年6月4日 18時49分
シアヌークビル州当局によれば、同ホテル・カジノに対し3月の営業停止命令が無視されたことから、さらにこれまで3回の警告を発して即時閉鎖を求めてきた。しかし、ホテル・カジノ側はこれに一切応じようとしなかったために警察と州当局による5月24日の強制的な閉鎖処分に踏み切ったという。
今後ホテル・カジノ側が営業を再開しようとすれば裁判に訴える必要があり、その場合も建物の強制撤去は可能になるというが、同公司の幹部と市当局さらに警察などとの「癒着」を指摘する声も出ており、強制閉鎖の実効性は疑問との見方をでている。
3月の営業停止命令後も5月まで営業を続けられたのは当局の汚職体質の反映とされているが市当局は「警告など法的手続きに従っていただけである。建物の強制撤去も遠隔地の島のために重機の搬入が難しかった」などと弁明していると伝えられている。
地元の環境団体はそうした指摘を踏まえた上で「汚水垂れ流しへの改善もなされずに数か月後にはホテルもカジノも再開される可能性も否定できない」と悲観的だ。
■ 中国人のギャンブル地区
親中国の立場で独裁政権を続けるフン・セン政権下でカンボジアの「中国化」は近年急速に進んでおり、首都プノンペンやシアヌークビルでは中国企業の進出に伴って流入した中国人労働者や観光客、そうした人々をあてこんだホテル、旅行会社、飲食店そしてカジノが林立している。特に港湾都市であるシアヌークビルには周辺地区を含めて少なくとも50軒の中国人による中国人向けのカジノが営業しており「中国人のギャンブル地区」とさえ称されている。
▲写真 フン・セン首相(左)出典:ロシア大統領府
中国人による犯罪、特に中国本土から流入してきた犯罪者集団による強行事件やインターネットを使ったオンラインカジノや詐欺事件なども激増している。
カンボジア警察当局が5月9日に発表した昨年12月から今年3月までの外国人関連犯罪で逮捕された外国人341人の中で中国人は241人と他の開国人犯罪者を抜いて断トツの最多となっている。(5月12日アップの「カンボジアで中国人犯罪急増」参照)
こうした中国人による犯罪増加、カジノ乱立にロンサレム島やシアヌークビルのカンボジア人住民は不安や不満をつのらせていた。
しかし警察や行政当局が中国企業や中国人組織、ホテルやカジノの経営者から「賄賂」を受け取って「不法状態を見逃している」との見方も強く、「反中国感情」を押し殺して切歯扼腕する状態が続いていたとされる。
それだけに一時的措置の可能性もあるものの警察と州当局による今回の「金鼎大飯店」に対する強制措置について周辺で適法に営業しているホテルや住民からは歓迎されているという。
トップ写真:カジノ(イメージ)出典:pxhere
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