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米中衝突、核戦力にまで及ぶ

Japan In-depth / 2019年6月27日 11時0分

DIAは米軍全体のなかでも潜在敵国の動向などの情報収集では最重要の役割を果たしている機関である。そんな機関が得た情報の発表はアメリカ政府全体の見解だともいえる。アシュリーDIA局長の中国の核戦力についての現状報告と予測は以下の骨子だった。



・中国は今後10年間に現在の核弾頭と核運搬手段とを合わせた総合的な核戦力の規模を少なくとも2倍以上に拡大し、増強する計画にすでに着手した。


・中国はこれまでアメリカとロシアのようなミサイル・爆撃機・潜水艦という核戦力三大支柱(Nuclear triad)を総合的に築いてこなかったが、今後はその構築を目指す。


・この総合核戦略は中国政権が軍事戦略全般のなかでとくに核戦力を中心におき、そのために中国の軍事史上でも最大の規模と速度の核増強を開始したことを意味する。


 ・中国軍は具体的には中距離核ミサイル、核搭載戦略爆撃機、核ミサイル搭載潜水艦の増強に比重をおき、とくに弾道ミサイル発射実験では世界最大の頻度を記録している。



以上がDIAのアシュリー局長の発表の最重要部分だった。



▲写真 中国の核爆弾第1号の模型 出典:Public domain


中国が核兵器の最初の実験に成功したのは前回の東京オリンピックの年、1964年だった。核武装に成功したわけだが、当時の中国の核戦略は毛沢東主席の「積極防御」という言葉に集約されていた。米国やソ連という核戦力の超大国の背後にあって、中国は核兵器は自国の防衛の最後の最後の手段としてのみ使うという戦略だった。つまりいざ戦争となって非核の通常戦力での戦闘が激しくなっても、中国は核兵器は先には使わない、敵が使ったら初めて、そして必ず核兵器で報復する。その方針を明示しておけば、敵は核を使わないだろうという論理での防御戦略だった。


だから中国の核戦略での長年の政策標語は「先制不使用」だった。核兵器はどんな場合でも敵より先には使わないという意味だった。中国は同時に核兵器を持たない相手に対しては、たとえ激しい戦争になっても核は使わないとも明言してきた。


ただし現実には中国人民解放軍幹部がこの「先制不使用」や「非核国への不使用」の宣言に反する言明をすることも何回かあった。とはいえ中国当局としては核戦力について語ることも少なく、その規模や性能を大幅に増強することもなかった。


しかし中国のその核戦略はいまや変わったというのがアメリカ政府の公式ともいえる見解なのである。アシュリー局長の言明はその新しい中国の核戦略についての警告ともいえるのだ。中国の軍事脅威をすでに感じている日本にとってこの動きはさらに重大な懸念の対象となるべきだろう。


トップ写真 トランプ大統領と習近平国家主席 出典:トランプ大統領(Public domain)/習近平国家主席(Wikimedia Commons ; Narendra Modi)


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