進むGPIFの国債離れ
Japan In-depth / 2019年7月9日 23時0分
民営化以前の03年度末での郵貯資金運用の74.3%は財投債を含む国債だった。8.4%は地方債の購入に充てられていた。簡保資金運用も42.5%が国債に、6.3%が地方債で運用されていた。約230兆円の郵貯と約120兆円の簡保資金のうち、財務省への委託を含めると200兆円近い金額が国債・地方債に振り向けられていたのだ。
▲写真 黒田東彦日銀総裁。日銀のマイナス金利政策は続いている。 出典:Wikimedia Commons; Asian Development Bank
郵政民営化での08年度からのゆうちょ銀の国債購入義務化廃止と、日銀による超低金利政策で国債保有・消化の「日銀頼み」は加速している。18年12月末での国債(財投債を含む)保有者別内訳を見ると、残高トップの日銀が466兆1179億円で46.0%のシェアに達した。
残高2位は、かんぽ生命保険を含む生損保などの207兆1339億円でシェア20.4%。残高3位はゆうちょ銀行や都銀など銀行系の171兆3031億円でシェア16.9%。公的年金は45兆5028億円で4.5%のシェア。海外からの投資に抜かれ、第5位。
運用資産約200兆円のゆうちょ銀行も国債からリスク性金融商品にシフトしている。民営化以降は「マイナス金利の影響を最小限にするため」とし、国債償還再投資を抑えてきたためだ。
ゆうちょ銀は17年2月にGPIFの資産ポートフォリオの見直しを進めた元GPIF調査室長の清水時彦氏を常務執行役員に迎えるなど、GPIFに習って今年3月末時点で28.3%までに国債運用比率を減らした。一方、外国証券等の割合は30.3%に拡大し、その割合が逆転した。
約80兆円の金融資産を持つかんぽ生命も国債での運用を38兆円に減らし、5割強まで比率を下げた。この結果、財投計画はピークの90年代後半の約40兆円から最近では14兆円まで減った。急速に地方経済の疲弊やインフラの老朽化が進んだのもうなずける。
トップ写真:2018年度運用状況記者会見(2019年7月5日) 出典:年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)ホームページ
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