中小支援の鍵、最賃引き上げ
Japan In-depth / 2019年7月14日 18時12分
全国加重平均での最賃は18年度に874円にまで上がっている。今年の最賃改訂で地域別最賃最高額である時給985円の東京が初の1000円台に乗るのは確実だ。しかし「率」での引き上げ目標(目安)のため、都道府県最高の東京と最低の鹿児島の761円との差は224円と前年の221円からさらに拡大しているのである。
このため共産党は「最低賃金が低い地方から都市への一極集中が加速している」(志位和夫委員長)とし、全国一律最賃制度への転換を求める。この背景には英国人金融アナリストのデービッド・アトキンソン小西美術工藝社社長の提言がある。
氏は「労働者は最賃が高い都市部に移動。地方が衰退する」と他の先進国同様、全国一律への転換を説く。「賃上げによる生産性向上こそ人口減×高齢化のダメージを打ち消す唯一の方法だ」ともいう。
▲写真 デービッド・アトキンソン小西美術工藝社社長 出典:David Mark Atkinson facebook
一律化には地方の中小企業を会員に抱える日本商工会議所は「中小企業に重大な影響が出る」と反発する。自民党内にも一律化を求める議員連盟が発足したが、党全体では現時点では困難という見解だ。
最賃引き上げを公約に掲げる6党は、いずれも中小企業への支援も盛り込んだ。大企業と中小企業との業績格差が急激に拡大している。その要因の1つが、大企業が受ける円安での「ドル建て輸出の円換算」上昇利益が中小に回ってないことだ。
一方では中小企業の大企業への納品価格は切り下げられた。政府は法人税率を引き下げたが「川上インフレ・川下デフレ」のダブルパンチを受ける中小は法人税を納められず、この恩恵も受けられない。
消費不況から脱するためにも大手と中小の二重構造の解消の取り組むべきである。政府は最賃引き上げとセットで、雇用者の7割を占める中小企業への抜本的な支援策を打ち出すべきなのである。
トップ写真:工場の従業員イメージ 出典:flickr; Yasunobu HIRAOKA
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