勢いと偶然と判断ミスと世界
Japan In-depth / 2019年7月23日 18時0分
〇 アジア
香港で大規模な反政府デモが7週連続で続いている。先週末夜には「地元犯罪組織のメンバーが民主派デモ参加者らをバットや棒で襲撃し、45人が負傷、うち5人が重傷、1人が重体」と伝えられた。こうしたやり方自体は中国本土でもよく見られるものだが、今回は香港当局側の弾圧のための巧妙な仕掛けが見え隠れする。
この種のデモを治安当局が鎮圧する最善の環境は、非暴力を掲げていた活動が過激化し、流血の事態に発展して、民衆の支持が失われることだ。当初こそ平穏に始まった香港の民主化デモだが、最近は過激化、暴力化、流血化が目立つ。今こそデモ参加者たちが最大限の自制を示すべき時ではなかろうか。
▲写真 香港でのデモの様子 出典:Wikimedia Commons;Baycrest
〇 欧州・ロシア
先週末、英国の財務相は「ジョンソン前外相が首相に就任する場合は辞任する」と述べたそうだ。理由は「合意なきEU離脱も辞さない首相を支えることはできないから」だという。それはそれで正論だが、この程度の発言でジョンソン前外相の過激な言動は変わらない。そんなことを言う暇があったら、別の行動を起こせと言いたいくらいだ。
〇 中東
外電などによれば、米CIAのスパイとして機密情報を収集していた容疑で17人が当局に逮捕され、うち数人が死刑判決を受けたという。イラン側説明によれば容疑者らは全員イラン人で、主にイラン国内の民間企業で原子力、軍事、インフラ、サイバーなど重要分野に従事していたそうだ。これもイラン側の報復行為なのだろう。
勿論真相は闇の中だが、この17人のうち一体何人が本当のスパイだろうか?イラン人は米国が大好き、訪米できるとなったら協力するのも当然ではないか。最近の米イラン間の緊張増大は憂慮すべきだが、この対立の中で多くのイラン人が犠牲になるのだとしたら、やはりイスラム共和制には重大な欠陥があるとしか言いようがない。
〇 南北アメリカ
22日からボルトン米大統領補佐官が訪日、要人と会談を行った。日本政府は「ホルムズ海峡航行の民間船舶の安全確保を目指し米国が同盟国に協力を呼びかけている有志連合などを巡り協議した」というが、この構想が具体化するには関係諸国間の調整が必要であり、仮に実現するとしても、まだまだ時間がかかるだろう。
もう一つの焦点は日韓関係だが、米側との協議の詳しい内容はわからない。そもそも、ボルトン補佐官に日韓を仲介する気があるのか、甚だ疑問だ。安全保障問題ならともかく、貿易問題で米国が日韓の議論に本気で介入するだろうか。「お前だってやってるじゃないか」などと切り返されたら、纏まるものも纏まらなくなるだろう。
▲写真 ジョン・ボルトン補佐官 出典:Flickr; Gage Skidmore
〇 インド亜大陸
特記事項なし。今週はこのくらいにしておこう。いつものとおり、この続きはキヤノングローバル戦略研究所のウェブサイトに掲載する。
トップ写真:在韓米軍セレモニー 出典:United States Forces Korea
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