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パフォーマンス理論 その29 人脈について

Japan In-depth / 2019年8月16日 7時0分

それを前提とした上で、私の経験からくる注意点をいくつか書いてみる。


大人になると楽しいことが多い。学生時代には知らなかったような楽しいことがたくさんあって驚く。異性にも出会いやすいし、飲み方も面白くなる。夜の会食の場で広がる人脈も少なくない。けれども、それと同じ時間に本を読むことも可能だし、資格の勉強をすることも可能だ。要は自分の人生の中で楽しむ会食をどの程度の比率にするのかをある程度決めておいた方がいい。全く外に出歩かなかった人のセカンドキャリアも大変だが、しょっちゅう出歩いていた人のセカンドキャリアもまた大変になる。蓄積された知識がないからだ。


もう一つ重要なのは、お願いの作法だ。アスリートはどうしても相手にお願いすることも多いし、またされることも多い。面白いもので、お願いされてそれに応えることで信用が構築できるのはわかるが、お願いすることで相手との関係が深まることもある。誰かの役に立つことは人に喜びと勇気をもたらす。もちろん筋がいいお願いでなければならないが、うまく頼れるといい。要は何かを目指しているアスリートの自分の人生というプロジェクトに他者をうまく巻き込めるかどうかだ。信用のできる相手と相談やお願いを繰り返すうちに、強いパイプができていく。


私はこれが下手くそで自分で全てやろうとしたために、成長も鈍化したし、プロジェクトもあまりうまくできなかった。自分の性質かもしれないし、陸上競技の癖かもしれない。


特にスポーツ選手はタニマチ的な存在や、スポンサーと無縁ではいられない。選手を連れていることを見せたい人もいるので、そういう人がスポンサーについた場合、一定付き合いを避けられない。行くところは、行きつけの飲み屋など、普段の仲間がいる場所が多い。特にそこにいったから何かをしなければならないわけでもないが、ただ、うなづきながらしばらくはいることになる。これはこれでどう振る舞うかの勉強になるが、あまり生産的なことではないので、一定以内に収めた方がいいだろう。


忘れてはいけないのは、相手から時間を取るということのコストの高さだ。これをしっかり意識している(かと言って遠慮しなくてもいいが)人と、そうではない人は相手の印象に大きな違いが出る。相手の時間を取ることに抵抗がない選手は、人が動くコストを安く見積もりがちだし、また会うというコストも低く見積もりがちだ。シンプルに言えば想像力がなく仕事ができなさそうだという印象を与える。時間をもらうということは常に相手が何かを支払っていることだというのを意識しておいた方がいい。


人付き合いはシンプルにいうと、相手がくれるものよりも多くのものを相手に提供することで活性化する。もちろん競技時代には競技に必死でそこまでは考えられないが、それでも少し想像するだけでも随分人脈は変わってくるだろう。もはや知り合いにはあまり大きな意味はない。繋がろうと思えばfacebookでもなんでも相手に連絡して繋がることができる。大事なのはいざという時に付き合ってくれるたった一人の損得を超えた信頼関係を築けるかどうかだ。セカンドキャリアに関しても、一人信頼できるメンターがいれば自ずと道は拓ける。


トップ画像)pixabay by Fptorech


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