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夢をつないだ北海道夕張市長

Japan In-depth / 2019年8月29日 19時52分

「飲食店に呼び出され、3時間か4時間も住民からお叱りを受けることもあります。ただ、人はどんなに怒っていても、しばらくすれば収まってくるのです。最後には『お前もたいへんだな』という言葉が出てきたこともあります」



▲写真 夕張市内 出典:著者提供


鈴木は一方で、自ら幅広くお金を集めている。例えば、企業版ふるさと納税を使った寄付だ。北海道で創業した家具のニトリが5億円、漢方薬大手のツムラが3億円寄付した。それ以外も含めて合計金額は8億7千万円となる。


「個人版ふるさと納税」の獲得にも余念がない。都内でわざわざ記者会見を開き、アピールした。こちらは3億6千万円。就任前の1千万円とは比較にならない。


トップセールスの際の東京出張も自腹だ。市長就任以来の財政再建の取り組みを、国も評価した。2017年3月、財政再生計画の抜本的な見直しに同意した。夕張市は、借金返済だけでなく、「地域再生」事業も可能となった。


鈴木は今、子どもたちに夢を持たせようともがく。市内で小中高一貫の英語教室を始めた。テレビ電話を利用し、外国人講師がマンツーマンで英会話を指導する。


「夕張市は、課題先進地で、課題と向き合ってきた。そして町の課題を少しずつ解決しようとしています。この経験を踏まえ、英語で話せるようになれば、グローバルに課題を解決する人材に育つかもしれない。高校卒業後に外で就職してもいい。子どもたちには夕張で生まれたことを誇りに思ってもらいたい」


私は鈴木と話して改めて「リーダーは夢を語るのが仕事だ」と実感した。どんな状況でも、「希望」の松明(たいまつ)を掲げ続けるべきなのだ。「危機があってもそれを先送りした方が選挙にも通りやすいし、役所批判も少なくて済む。しかし、先送りの結果、問題は深刻になるのです。夕張の場合は、誰が責任を取ったのでしょうか。先送りの意思決定をした当時の市長などではなく、今生活している市民や職員です」


財政危機の表面化を先送りする市町村は、夕張市だけではない。「不都合な真実」を隠し続ければ、波風が立たないからだ。しかし、私は、それは将来世代に無責任だと思う。人口減少社会に突入した今、危機の芽を早く摘むことができるかどうか。首長の決断と実行が地域の未来を左右する。


トップ写真:鈴木直道元夕張市長 出典:著者提供


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