離脱派が伸長した理由・有権者編 今さら聞けないブレグジット その9
Japan In-depth / 2019年8月31日 18時0分
ポーランド系移民が集まるようになったロンドン北部郊外のある街では。英語を解さない児童が急増したせいで、小学校の学級崩壊が相次ぎ、その一方で、代々地元の学校を卒業したような家庭の子が、定員の関係で閉め出されてしまう(入学できない)、という事態さえ起きているという。
こうした不満をうまくすくい上げた形で、ブレグジットを主張する勢力が2016年の国民投票で勝利したわけだが、これもすでに指摘した通り、彼らが描いてみせた〈離脱語のバラ色の未来〉など嘘八百であったことがすでに露見しているし、今やどんどん現実味を増している〈合意なき離脱〉は、もはや地獄絵図とも言うべき混乱を引き起こすであろう、との予測記事まで出る始末だ。
私は、五分五分よりもやや高い確率でジョンソン辞任、離脱撤回という結論になるのではないかと見ていたが、ここ数週間、報道や英国からもたらされる情報に接して、いわば第三の選択肢と言うか、「ひとまず〈合意なき離脱〉が強行されるが、その混乱を受けて、内閣不信任案可決・総選挙すなわち〈事実上の国民投票のやり直し〉を経て、短期間のうちに再加盟」というのも、あり得ないシナリオではない、と思うようになってきた。
▲写真 ボリス・ジョンソン首相 出典:Flickr; Chatham House
この問題は、10月にでもあらためて考察させていただきたくとして、次回・本シリーズ最終回では、英国の政治家達がEUという存在をどうとらえ、ここで述べたような問題にどう取り組んできたかを報告させていただこう。
トップ写真:EUと英国国旗 出典:Flickr; Bankenverband - Bundesverband deutscher Banken Follow
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