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まだ必要?都心の超高層ビル その2 東京都長期ビジョンを読み解く!その75

Japan In-depth / 2019年9月5日 11時0分


▲写真 高層階からの眺望(筆者撮影)


しかし、健康への影響はどうか。実際、プラスもマイナスもありそう。開放感のある眺望やセキュリティの安心による、心の安定もあるだろう。眺望がもたらす心理的開放感などで健康面で一定のプラスが考えられる。しかし、マイナスもありそうだ。前提として、よく言われているのが、


 ・高層階は気圧が低い


 ・高層階は常に微動している状態


ということである。なぜなら、「免震構造は地震の力を分散するため、あえて揺れやすく造るので、高層階になればなるほど、常に揺れている」そうだ。頭が痛くなる人もいるし、元気な人もいる。体が慣れるまでは生理不順になるとの経験談もあるが、そうでない人もいる。


 


■ 健康には影響ないの?


実際、研究結果を見ていこう。厚生省心身障害研究報告書(平成5年度)の「居住環境の妊婦に及ぼす健康影響について」によると、流産経験者の割合が高層階になると高くなることが明らかになっている。


しかし、それ以外は明確な論文は見当たらない。ベルギーでは高層ビルに住むことは健康に悪いという考え方に反論している論文もある。


高層階に住む以外の他の要因、つまり、収入だとか、生活習慣だとか、人間関係や仕事の有無だとか、幸福度などの要因もあるので、超高層ビルでの生活がもたらす影響はよくわからないというのがほんとのところか。


 


■ 救急時には間に合わない?


ただ、カナダ医師会ジャーナルに掲載された研究では、高層階での生活は、もし心停止になった場合、生き残る可能性が低くなることが明らかになっている。7842の事例においては、高層階よりも低層階のほうが生存率が高いこと(2階以下で4.2%、3階以上で2.6%、16階より上では1%を下回る)、25階以上に生存者はいないそうだ。


救急がエレベーターでの対応に手間がとられること、例えば、高層階に救急チームがエレベーターで上がるのに時間がかかる、病人をストレッチャーに乗せるのに手間取る、エレベーターで下がるのに時間がかかる、色々手間が掛かりそうだと推測できるし、その意味で当然かもしれない。



▲写真 六本木ヒルズ住居棟(筆者撮影)


 


■ 行政は健康に影響があるかは明らかにしないのか?


高層階に人が住むようになり出したのはごく最近のこと。まだまだ研究も少ないようだ。そもそも影響を分析する研究を設計するのが難しい。


超高層ビルにはそれなりに魅力も多いし、もし、健康に影響があったとしても人のそれぞれの価値認識によるだろうし、その判断は自己責任である。また、デベロッパー的にも収益的にも魅力がある。


超高層ビルの建設がとまらないわけだ。


それがいいのか悪いのかは私にもわからない。しかし、こうした建設への許認可を行う側の行政が、健康についての調査を行っていないことにはやはり疑問を感じる。


超高層ビルと都市計画について次回は考えていく。


トップ写真:虎ノ門ヒルズ(筆者撮影)


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