北東アジア情勢は日米関係をどう変えるか その1 韓国離反の「禍」を日米結束の「福」に
Japan In-depth / 2019年9月8日 11時0分
トランプ政権はこのところの日韓対立には直接に介入しない方針をとった。どちらかの肩をもつことで他を刺激する危険を避けたのだろう。だが政権内外では非は韓国にあり、という判断がにじんでいた。
韓国研究では米国学界でも有数の権威とされるスコット・スナイダー氏(外交問題評議会米韓政策研究部長)がいまの日韓対立は文大統領が国内政治のために対外政策を利用し、対日関係を犠牲にする形にした結果だとする見解を語ったことが注視された。スナイダー氏はワシントンでの8月の公開シンポジウムで「文大統領が慰安婦問題での日韓外相合意に基づく財団を解散し、さらに元徴用工問題での韓国最高裁の判決を放置したことが対日政策を誤らせた」と述べ、今回の日韓対立の原因はまず文政権にあるとの見解を明示した。
▲写真 スコット・スナイダー米外交問題評議会米韓政策研究部長 出典:COUNCIL on FOREIGN RELATIONS
米国メディアも日韓対立について両国の一般国民レベルでの動きの報道では韓国側の感情的な日本叩きだけを詳細に伝える形となった。日本側にはその種の乱暴な反韓行動がないことはいやでも印象づけられた。韓国のGSOMIA破棄についてのトランプ政権や米国議会の反応をみても、韓国側への非難があいつぐなかで、日本への批判がまったくないことが目立つ。
トランプ政権に限らず、米国の北東アジア政策全体で今回の韓国の措置が日米同盟への依存や信頼を期せずしてまた増すという効果が明白なのである。
日本にとっては禍が福と転じる展開だともいえよう。
だがその背後には日本にとって韓国とはなんなのか、安全保障上の対韓認識の真実の時が迫ったこともみすえねばなるまい。
(その2に続く。全4回)
編集部註:この記事は古森義久氏が自由民主党の機関紙「自由民主」に依頼された寄稿論文の転載です。同論文は「不透明さを増す北東アジア情勢と日米関係」というタイトルで4回の連載となっています。今回の掲載はそのうちの「日米韓三国体制の真実」という題の第1回です。
トップ写真:日米韓首脳会談(2017年7月6日ハンブルク)出典:外務省ホームページ
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