トランプ大統領弾劾へ風雲急
Japan In-depth / 2019年10月5日 11時0分
1)次の大統領選挙に外国の介入を促したから
マラー報告書は2016年の大統領選挙、つまりは過去の選挙への介入があったかどうかの調査だが、内部告発はトランプがウクライナ大統領に対し、再選に向けて最大のライバル候補であるジョー・バイデンの身元調査を依頼したものだ。つまりはトランプが再選をかけて来年秋に行われる選挙のためのスキャンダルを用意してくれ、といっているわけで、議会で行われる弾劾による制裁が緊急なものとなった。
2)大統領が直接指示しているから
マラー報告書に関する調査では、結局トランプ大統領への直接的な尋問は叶わず、文書による質問にトランプ大統領が答え、それを弁護士が念入りにチェックしたものしか提出されなかった。
だが、今回の内部告発による電話でのやりとりは、ホワイトハウス自らがトランスクリプト(口頭での会話を記録したもの)を提出し、それによると、ウクライナへのミサイル支援を持ち出された直後に「それより、ちょっと頼みがあるんだが」と取引を匂わす発言をしたことを大統領自ら認めた形となっている。
▲写真 ウクライナのヴロディミール・ゼレンスキー大統領(2019年6月18日)写真:facebook; Володимир Зеленський
3)報告書が短く、違法性がわかりやすいから
450ページもあり、法律の専門用語も多くて冗長なマラー報告書と違い、今回の内部告発者による手紙は10ページ足らずなので、コメントを求められた議員や関係者が「全文を読んでいないからコメントできない」という言い訳を使えない。さらにアメリカの選挙活動財務法で「外国からは金銭やそれに代わる協力を得てはならない」という一文があり、トランプ大統領の行為が違法であることが自明の理で、否定の余地がない。
4)既に大統領が認めているから
トランプ自身はハッキリと「〜と引き換えに」という言葉を使っていないので、quid pro quo(交換条件)が成り立たないとでも考えたのか、自ら会話の概要をタイプしたトランスクリプトを提出したが、実際にウクライナへの軍事支援を引き延ばしにしたことなどが分かっている。今回は大統領自身がハッキリ「自分がやった」と公言しているので、それがそのまま動かぬ証拠となり、調査の必要さえない。
5)証拠を出し渋ることは公務執行妨害(obstruction of justice)となるから
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