令和時代になぜ憲法改正 その2 日本国憲法書いたアメリカ人の述懐
Japan In-depth / 2019年10月15日 18時0分
日本国憲法はその作成の時点での意図は日本の非武装だったのだ。しかも日本を占領していたアメリカのその時点での一方的な命令だったのだ。日本からすべての国家防衛の能力も手段も奪ってしまうことが真意だったのである。
だから憲法第9条はよく読めば読むほど、日本は防衛とか軍事とか戦争とかには一切、かかわってはならないという意味に解釈できるのである。
ただしアメリカ自身がその意思をすぐに変えることとなった事情は日本側でも広く知られてきた。
しかし1946年2月の10日間ほどであわただしく書かれた日本国憲法は日本に対して他の主権国家であれば自明の自国の防衛の権利を否定することが主目的だった。しかも日本は当時、主権国家でも、独立国家でもなく、米軍の占領地域だったのである。
第二次大戦後の世界の潮流のなかでみれば、超大国のアメリカが日本に対する戦勝直後の特殊な時期に対外政策、対アジア政策の一貫として決めたのが「日本の永久的な非武装」だったのだ。その後すぐに激しくなるソ連との軍事対立や北朝鮮の南への全面侵攻という展開を予期しない、ごく短い小休止のような時期に決めた日本の憲法9条だったのである。
起草者のケーディス氏自身が「アメリカ政府はすぐに日本に憲法を改正してほしかったが難しかった」とか「私自身も日本はとっくに改憲をすべきだったと思う」などと述懐していたのが皮肉だった。
しかし日本国憲法はその起源がどうあれ、日本国民の多数派に支持されてきた。その後の東西冷戦のソ連の軍事脅威に対しても日本は防衛努力を最小限に抑え、経済復興に専念できた。
▲写真 富士総合火力演習(2019年8月25日)出典:防衛省・自衛隊ホームページ
だからいまの憲法がアメリカ製の押しつけであっても、占領下の作成でも、日本の国家主権を自縄自縛にする規制であっても、いいではないか、という議論は成り立つだろう。
ただしこの種の主張の欠陥となるのは日本国憲法がまったくのアメリカ製だった事実が長年、日本国民に対して隠されてきたことである。護憲の主張ではその憲法の生い立ちがまったく曖昧にされてしまう点にも問題がある。
こうした憲法の生い立ちを知ったうえで憲法第9条を改めて読むと、この記述から自衛隊を違憲だとする解釈が生まれてもふしぎはないと感じる向きが多いだろう。なぜなら本来の第9条はまさに日本の非武装を意図して書かれていたからである。
(その3につづく。その1。全4回)
【註】この記事は日本戦略研究フォーラム季報(2019年10月刊行)に掲載された古森義久氏の論文の転載です。4回にわたって掲載します。
トップ写真:厚木に到着したダグラス・マッカーサー元帥(1945年8月30日)出典:Public domain
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