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アフリカ豚コレラ北朝鮮で猛威

Japan In-depth / 2019年10月30日 23時0分


▲写真 南北軍事境界線(DMZ)出典: Flickr; Republic of Korea


 


■ 北朝鮮で住民の不安拡散


この「アフリカ豚コレラ」のために北朝鮮住民がいま恐怖に陥り、豚肉価格も暴騰しはじめているという。北朝鮮では食糧難と収入拡大のために多くの人々は豚を飼っている。北朝鮮で豚は貴重な資源であり財産なのだ。住民は養豚によって資金を得ておりタンパク源も得ている。直接物々交換に充てたり、あるいは「収買所」で買い取ってもらったり、「チャンマダン(市場)」で販売したりして生活費に充てている。また豚皮は軍に納めて軍用の靴に用いられている。


行政の末端単位である「洞」では近隣家庭の主婦を登録させて「家内畜産班」まで組織し養豚に精を出している。共同農場には作業班ごとに「豚分組」が設けられ、豚舎を持たない農場がないほど養豚が広く普及している。地方都市や工場の労働者区でも家計維持のために豚の飼育が欠かせない状況だ。


こうしたことから、無届けで豚を飼う家庭も多く、農村では盗難を恐れて屋内の土間を洞窟のように掘り下げて豚を飼うことが一般化している。都市部でもアパートの一部を豚舎にしたりしているところもある。だが家庭での畜産は忍耐心と勤労精神がなければやり遂げられない大変な仕事だという。


このように苦労して育てた豚だけに「アフリカ豚コレラ」にかかって死んだからといって住人が当局に申告したり、やすやすと放棄することは考えにくい。たぶん申告しないで食用処理する可能性が高い。


すでに感染した豚がそのまま解体されて「チャンマダン」に出回っているという。貴重なタンパク源として飼主が家庭でそのまま食用にしているともいう。防疫体制が不完全な北朝鮮でこうしたことが拡散した場合「アフリカ豚コレラ」のウイルスはまたたく間に北朝鮮全土に広がりかねない。



▲写真 北朝鮮の養豚場を視察する金正恩委員長(2017年4月23日)出典: 「労働新聞」ホームーページ


 


■ 北朝鮮当局、豚の全頭数把握せず


ここでさらに深刻なのは、無申告で豚を飼っている場合が多いことから、北朝鮮当局が北朝鮮内に何頭の豚が飼われているのかを正確に掌握しきれていないことだ。そうしたことから、「アフリカ豚コレラ」が全国の養豚場に蔓延しているのではないかとの疑心暗鬼が住民の間で増幅している。


「アフリカ豚コレラ」は、ヒトに対しては無害とされている。しかし、インフレンザウイルスが豚から人体に移り新種が作り出されていることから、感染が繰り返される過程で、人に感染する新種のウイルスが生じないとは絶対に言い切れない。


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