朝日新聞中国人権弾圧を非難
Japan In-depth / 2019年11月12日 11時24分
吉岡記者はさらに習近平体制の弾圧について日本に触れて次のように書いていた。
「ひとごとだろうか。中国史を研究する北海道大学の教授が9月から中国で拘束されている。理由が判然とせず、日本の学界に衝撃が走る。中国への出張をとりやめる動きも広がっている。内政と外交は地続きだ。国家の安全を理由に中国内で自由や人権に配慮せず、敵視する相手を力ずくで封じ込める姿勢を見てきたからだ。高度な自治を認めた『一国二制度』の揺らぎに直面し、激しいデモを続ける香港の人々にも共通する恐怖である」
▲写真 中国の招きで訪中した中国史専門の教授が拘束された。写真は北海道大学。出典:Flickr; Susumu Kurihara
この部分は「力ずくで封じ込める姿勢」を「見てきた」という文章の主語がだれなのか、曖昧な点もあるが、おそらく「日本の学界」ということなのだろう。とすると日本の学界が香港の人々と共通の恐怖を抱いているという意味になり、迫力のある描写とも響く。
▲写真 マスク禁止法に反対するデモ隊と警官隊の対峙。(2019年10月6日 香港)出典: Flickr; Etan Liam
そのうえで結びとして同コラムは次のように述べていた。
「日中関係は改善の基調にあるという。習氏も来春、来日する予定だ。ならば今こそ、日本政府は中国の言論や人権の問題に目を向け、意見を言うべきだ。それは日本人の安全にも深くつながっている」
▲写真 安倍首相と習近平国家主席による日中首脳会談(2018年10月26日 北京)出典: 首相官邸ホームページ
まさに適切な主張である。ただし習近平主席の来賓としての来日に反対はしていない。だが日本政府は中国の人権弾圧に抗議せよ、と訴えている。確かにそうだろう。日本政府はその抗議を明確にしてこそ初めて習近平主席を招くべきだと、その訪日に明確な前提条件をつけるならば、もっと適切な主張となっただろうが、そこまでは述べていなかった。
日本政府は首脳や高官同士の会談で人権弾圧への懸念を伝えたと発表しているが、公開の場で抗議を表明しなければ、効果はない。中国への批判的な姿勢の強化を朝日新聞にまで求められるとは、安倍政権の対中スタンスもよほど融和的にすぎる、ということだろう。
トップ写真:中国・習近平国家主席(2019年10月25日)出典: Flickr; Palácio do Planalto
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