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スマトラゾウ、インドネシアで死骸

Japan In-depth / 2019年12月2日 11時0分

アチェで発見されたスマトラゾウの死骸は、人間の生活圏である農園の中に入ってきていることから、密猟者による殺害の疑いとともに、農園の労働者による「駆除目的」の毒を盛ったエサによる殺害の可能性も視野に入れて捜査を進めているという。


世界自然保護基金(WWF)によるとスマトラゾウの個体数は約2400から2800頭とされているが、約1000頭に減少しているとの報告もある。


相次ぐスマトラゾウの死骸発見は自然保護当局に衝撃を与えており、警察と協力して象殺害実行者や密猟者の発見、摘発と同時に切り取られた象牙の回収に全力を挙げる方針を示している。


 


■ 絶滅危惧種、希少動物の宝庫


インドネシアは東西5110キロに及ぶ広大な国土を擁し、南のバリ島とロンボク島の間のロンボク海峡からカリマンタン島(マレーシア名ボルネオ島)とスラウェシ島の間のマラッカ海峡を経てフィリピンのミンダナオ島に至る生物の分布境界線「ウォーレス線」が走っている。


さらに主に淡水魚の分布ではティモール島とスラウェシ島の東側、セラム島、ハルマヘラ島の西側の海上には分布境界線の「ウェーバー線」もあり、東洋区とオーストラリア区さらにその中間のウォレシアに生息する多様で豊富な動物類がインドネシアでは確認されている。


スマトラ島のスマトラゾウ、スマトラトラ、スマトラサイ、ジャワ島のジャワサイ、ジャワヒョウ、さらに人間に最も近い類人猿とされるカリマンタン島とスマトラ島にのみ生息するオランウータンなどはいずれも絶滅危惧種に指定されている。



▲写真 スマトラのオランウータン 出典:photo by Hype TV


さらに「現代の恐竜」といわれるコモド島周辺のコモドドラゴン、世界で最も美しく華麗な鳥といわれるパプア地方の極楽鳥(チェンドラワシ)、スラウェシ島北部のタンココ自然保護区などに生息する全長約10センチと世界最小のサル「タルシウス(別名スラウェシメガネザル)」など希少動物として捕獲や売買が制限されている種も多い。


 


■ 密猟、森林火災、ペット


こうしたインドネシアの豊富な動物たちが直面している危機はまず、今回のスマトラゾウの象牙のような密猟者の存在である。装飾品や漢方薬、毛皮などの需要を満たすために商品は高額で取引されるため、密猟者があとを絶たず密輸入の闇ルートの存在も指摘されている。


さらにインドネシアではもはや恒例となっている農園開発のための人為的な森林火災や大規模開墾による動物の生息域の減少がある。


エサやより住みやすい環境を求めて動物たちは人間の生活圏や農園に出没することを余儀なくされ、それが住民、農民との対立から駆除に発展するケースも報告されている。


最後にインドネシア人富裕層のペット嗜好がある。かつてジャカルタ市内でオランウータンをペットとして飼育していた住民が摘発されたこともあり、絶滅危惧種や希少動物を高額で購入してペットとして飼育する趣味がいまだに残っているといわれている。


いずれも動物保護の観点からは問題であり、自然保護局や警察などによる監視、捜索そして摘発のための体制構築が急務となっている。


トップ写真:スマトラゾウ 出典:photo by Tim Willcox


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